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「ブラッド・ダイヤモンド」 [映画]

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紛争ダイヤモンドの利権を巡る社会問題っていう、背景設定から物語のすじを抜き出すと、ある父親が数々の困難を克服して引き裂かれた家族を取り戻す人情ドラマ、ってことなんじゃないかと思う。

一難去ってまた一難。
人の情けと家族の絆。
観客の「この後どうなるの?」ツボや「がんばれ!」ツボ、「ここで何か起きるんじゃないのー?」ツボを徹底的に心得て、丁寧に刺激される感じ。
山あり谷あり、みたいな、筋立ての起伏とか緩急とか、物語を制御する力がものすんごく巧みにコントロールされていて、常にドキドキハラハラ感をキープさせられる。

…この感じはねぇ。語弊があるかもしれんが、アレだ……「おしん」(爆)
なんだかんだ言って目が離せない。


んで、その、社会問題としての紛争ダイヤモンドの扱いなんすけどね。
物語の構成上、徹底的に「つまらんもの」扱い、ダイヤモンドなんかよりも家族と平穏に暮らすささやかな幸福の尊さ、…ってことなんだろうけど。
そりゃそーなんだろうけど、ちょっとそりゃあ意図的に過ぎる。
「この登場人物を襲った災いは、ダイヤモンドというつまらん石っころなんだぜ」と収斂されてるみたいなとこがすんごく安易な感じがするんだよね。
「あんたがダイヤモンドなんか欲しがらなかったらこんなこと起きないんだぜ」みたいな。

ダイヤモンド自体は悪くないし、ダイヤモンドを欲しがることが悪い訳じゃないはずなんだけど、この映画みたら、ダイヤモンド欲しいとは言えなくなる。
しかも、ダイヤモンドなんて生活必需品じゃないから、「要らない」て言うのは簡単。
紛争地帯から遠く離れた観客が、畏まってこの映画を観て「ダイヤモンドなんて欲しがらないわ」て言って、賢くイイ子になったつもりになる。


そんな単純な話じゃないと思うんだけどねー。
紛争問題を扱うにあたって、そういう色づけは安直に過ぎる。







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