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「雪の下の炎」 [映画]

映画『雪ノ下の炎』
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チベットの独立を訴えるデモに参加したり、ビラを貼付したという理由で逮捕され、惨い拷問を受け、33年間も刑務所に収監されたチベットの僧侶パルデン・ギャツォさんのドキュメンタリー。

中国軍の非道とか拷問の惨さとか、淡々と語られるだけに恐ろしくって、見聞きするのがつらくてしんどい。
実際のめに遭った人たちはもっと恐ろしくつらいめにあったんだろうし、そこで目を逸らしちゃいけないのかもしれないけど、ひたすら痛苦しい話の苦手なわたしには“効き”過ぎる。
合間合間に拷問の再現イメージとか陰惨な重苦しい音が挟まれるのはあんまり感心しなかった。“効き”具合をはかってる感じがする。

“効き”っていうのはつまり、フリーチベット!への効き目っていうか。
拷問とか非道いめにあったのを“踏まえて”、中国政府を非難しチベット独立を訴える“段取り”を“押さえ”てる感じがした。文脈をつくってる。
ていっても、ハナっから政治的な旗色は鮮明な訳で、観に行ったわたしもアジられに行ったようなもんだからいいんだけども。

でも、惨い拷問のイメージ映像よりも、亡くなった仲間のことを思って涙をこぼすパルデンさんの姿の方がクる。当たり前だけど。
説明される内容ではなくって、パルデンさんの面差し、語り、佇まい、存在そのものが強く訴えかけてくる。

この人の姿を見ていて、「チョムスキー9.11」でノーム・チョムスキーが語る姿を思い出した。
決して昂らない。煽動するでもない。静かに話すだけなのに、強く心を揺さぶられる。


どうやら楽真琴さんという監督は、パルデンさんに滅法感情移入して撮ったらしく、その衝動っていうか、撮らなくては!っていう思いがしんしんと伝わってくる。
とても感情的な訴えなんだけれど、すごく“まっとう”な感じがする。理不尽に対して、まっとうに怒り、まっとうに悲しむ。
何かにつけ、そういう時代だから仕方がない、理不尽はどこの国にもあって数えたてればきりがない、みたいなお利口な諦めとは真逆のまっとうさ。
ひどい目に遭ってる人たちがいて、その人たちを見過ごせない、居てもたっても居られない気持ち。

政治に感情を取り戻せ。
っていうようなことを、思った。


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監督、楽真琴さんのブログ FIRE UNDER THE SNOW







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