「ヴァージン・スーサイズ」 [映画]
要するに、“妖精さん、さようなら”ってことなんだろうと思った。
美しいものは死なねばならない。
あっけなく、儚く、あっという間に逝かなければならない。
「美人薄命」は運命ではなく、願望である。
美の成就には死の影がある。
かわいそうな妖精さん、さようなら。
ソフィア・コッポラの知名度とぶりぶりな雰囲気故に「ガーリー」を象徴する映画となっているようだが、実はものすごーく男の子目線の話。
原作「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」(著/ジェフリー・ユージェニデス 発行/早川書房)は夢見がちな文学少年の幻想物語。と、わたしは思う。
思春期の女の子は実のところ、意地悪で可愛くないし、生臭くてふてぶてしい。生物的にはおばちゃんとタメ張るくらい、強い。
その最強生物を可憐でたおやかなひらひらの妖精さんにしてしまい、パタパタ死んでしまったよ、なんだかポエティックでメランコリ〜、に仕上げてしまった訳なんだろうと思う。
五人姉妹は実はピンピンしていて、カラカラよく笑うおばちゃんになっていた、というオチでも驚かない。空想耽溺少年にとっては、妖精さんが大人になっちゃうのは耐えられないんだろう。
しっかし、ソフィア・コッポラのお茶目なこと。ジョシュ・ハートネット演じるトリップのスカしっぷりに悶絶。ベロアのスーツ! しかもその髪型! サイコーだ!
シロタさんのヴァージンスーサイズ評、大好きです。
(というかソフィア関連レビューどれもステキです。)
>「美人薄命」は運命ではなく、願望である。
>美の成就には死の影がある。
納得です。
どこかでそれが美しいまま失われるのを望む心があるんですよね…。
>思春期の女の子は実のところ、意地悪で可愛くないし、生臭くてふてぶてしい。
ええ、まったくです。笑
そのうえ無知で残酷です。。
これが全部少年たちの願望だったってのも凄くすきです。
でも一方、ちょっと彼女たちが死んでしまった理由もわかる気がします。
過保護にされることって、
周りから見えるよりもきついことなんじゃないかと思うんです。
by NO NAME (2009-08-31 20:47)
すみません、名前かき忘れちゃいました↑
お鈴です。汗
by お鈴 (2009-08-31 21:57)
お鈴ちゃん、コメントありがとう。
これ、原作は、時代の世相とか土地柄とか社会的な問題もじわじわーっと匂ってたように覚えてます。
アメリカの中流家庭の行き詰まり、清潔な腐敗っていうか、お行儀の良い絶望とか不安、みたいなもの。
ちょっと村上春樹っぽいかも。
映画は、女の子の感じやすさが焦点になってて、それはそれで普遍的に通じるものになってんだろうなあ、と思いましたです。
by シロタ (2009-09-02 08:44)