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「小さな恋のメロディ」 [映画]




これは、眩すぃ…。
眩しい映画だな。

画もきれい。光の加減が美しい。
オープニングの夜明けの風情でグッと掴まれる。
街の風景や、じゃれ転がる少年少女の情景とか、活き活きしてて魅力的。ごく自然に日常が切り取られてる感じ。
音楽も印象的。聞き覚えのある楽曲も多くって、そっか、この歌はこの映画であったか、って今さらな感慨。


少年少女の純な恋が眩しいってよりも、その貫き方が眩しい。
例えばこれが恋ではなく、ロックバンドやりたい、とか、世界を旅したい、とかだったりしても眩しさは減じない。
減じないけど、うん、恋ってところがよいな、やっぱり。
まったく理屈じゃないから。
そして、とても他愛ないから。
他愛ないがゆえに、切実に、抑えようもなく、求めるから。


オトナのクソ理屈で言うなら、
・判断力の未熟さ幼さによる一時の衝動・気の迷いであるからして直に醒める、将来を考えるならそんなものに懸けるのは愚かなこと。
・また、未成熟な若者は、今はひたすら勉学に励み、社会のよりよい構成員となるべく研鑽に邁進すべきなのであり、そのような余計な懸案に時間を割くべきではない。
・フィジカルな成長変化の著しい時期であることから、欲望と情愛の判別がつき難いと思われる。適切な手段で欲望を処理すべし。
みたいなことになる訳だが。
うん、立派なクソ理屈だ。
それにしてもコレ↑書くのがものすげえ容易で嫌になった。10秒でありとあらゆる言い回しの文言がばんばん思いつく。言う人の顔まで思い浮かぶ。

理屈は理屈だし、間違ってるわけじゃない。
場合によっては、こういう理屈を大変クールに思えたりもする。
だけど、なんか猛烈に苛立つのは何故だ。


橋本みつるの漫画で「GET DOWN」「世界を止めて」(白泉社「GET DOWN」所収)ってのがあって、衝動的に駆け落ちというかプチ家出というか、どっか行きたくなる衝動に任せまくる高校生ふたりが主人公なんだけど、その感じが思い浮かんだ。
このふたりには理屈も理由もなくって、ただどっか行きたいっていう衝動だけなんだけど、その衝動が狂おしいほどに切実。

「夢を見る人」(ソニーマガジンズ「夢を見る人」所収)では、夢を追って家出する青年を、眩しく見送る女の子が出てくる。
その子が言う。

幸せになって
絶対忘れない
凄く祈ってる(p.54)

どうぞ誰にも捕まらないで
思ったとおりに 生きて
          生きて(p.61)






 



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