「この空の花」 [映画]
→「この空の花」公式webサイト
ぶっトびカオス。妙なパワーがうねっていて、巻き込まれる。連れて行かれる。
まさにワンダーランド。
・現代と昭和20年の人物がすれ違ったり、時空が錯綜する
・やたらなカット数の多さ。多くの場所、人物、時代、場面がくるくる差し挟まれるっつーか重ねられるっつーか、過剰な情報量の過剰さ全開
・登場人物がカメラ目線でいきなり観客に話しかけてくるメタ演出
・些細なことが過剰なテロップでいかにも重要キーワードふうに示され倒される饒舌
、とか、とかとか、
他にも、三味線ペンペケしながら花火解説んとこのミュージカルっぽさ?とか、舞台のお芝居と紙芝居の場面と映画的場面が交錯したりとか、サーカスみたいな一輪車とか、いろいろ盛ってる感じ。
つか、そういう手法の数々そのものはそんなに目新しいものではないんだと思う。
ただ、それらの盛りが気前よすぎるくらいの特盛りメガ盛りギガ盛り祭り。
で、そういう過剰さによって、尋常じゃない感・なんかヤバい感がみなぎりまくりまくる。うっすら狂ってる感すらただようほどに。
そのような過剰な様態に「戦争にはまだ間に合う」「この雨、痛いな」とか、謎の台詞がぼこぼこぶっこまれ、は?なになに?どゆことどゆ意味?って怪訝な気持ちを置いてきぼり気味に、ばんばん上述の過剰さに押しまくられる。
この、訳わからな感・置いてかれ感が速度として感じられる。上述の過剰さとともに、やたらなヴォリュームのものがえっらい速度で突進してくるみたいな感じ。暴走機関車みたいな。
ナゾの一輪車少女花ちゃんがイイ。すごい存在感。
このコがまるで重力を感じないみたいにしゅーっと現れ、ふわふわ揺れながら(一輪車のバランスとってるんだけど、なんか浮いてるみたいに見える)微笑む不思議な佇まい。
人間じゃないっぽい。妖怪すれすれつーか、何か兆しをもたらす先触れの精霊のような。
場面によっては不吉な感じもしてしまって、怖くて背筋がぞわーっときたり。
この少女自身が悪さをはたらいたりする訳では全然なくって、むしろ悪意や邪心は全然なく、ただ、「知らないから」「会いに来た」っていう。ただ、「会いに来た」少女。
「よかった、会えて」と言う台詞には、なんだかグッとこみあげるもんがあって、泣きそうになった。すごいさりげなくさらっと言うんだけど、そのさらっと加減がクる。観ている自分に言われたような感じもした。
一輪車に乗って、観客に会いに来た少女。みたいな。
いやしかし、一輪車ってすごいなー、というか、一輪車の画の使い方がすごいのか、何気ない風景をしゅーっと一輪車の生徒が通り過ぎる、それだけで場面が、何か予感とか兆しみたいなものを帯びる。
旗を立てた一輪車の一団が画面を横切ってく場面もあったりするんだけど、それこそ気になる場所に旗を立てるような、付箋はったり矢印書いたりするみたいな「!」が立つ。
この一輪車少女と一輪車団しゅーっを観るだけでも一見の価値あり。かも。
ただ正直言うと、訴えてくるメッセージとか主張にはイラッとしたりカチンとくるとこもあったりすんのね。甚だしく。
最後の花火ですべてが昇華されていくようなとこも納得いかないし。
一番キツく感じたのは、空襲の体験を紙芝居で小学生たちに語り聞かせる場面。
戦争はこんなに悲惨で恐ろしい、忘れないように風化されないように語り伝えて二度とこんなことが起きないように起こさないように、ていうアレ。
アレはキツい。子どもの頃、そういう話を見聞きさせられるのがすごい怖くて嫌だったの思い出す。地域の子ども会かなんかで、原爆のアニメ映画観させられてさ。ずーっとうずくまって耳ふさいでた。
そんなのサボればよかったんだけど、わたしは非常にまじめなお子さんだったので、観なきゃいけないと思ってた。嫌だからこそ観なくちゃいけないんだと。
で、わたしの中では、平和運動とか平和祈念、ってことになると、=怖い話、になっちゃってるのね。
これはもうなんか脅しだなと。脅迫だよ。怖い目に遭いたくなかったら平和にしろ。みたいな。
平和ってそーいうもんなのかな、と。
それにしても、なんかこう、自分たちの経験体験を次の世代に伝え、思いと希望を託す!みたいなことへの違和感がハンパない。
どうしてそんなに世代を越えて語り伝えてゆかれるべきほどに自分たちのことをかけがえなく思えるのか、すごい不思議というかなんというか。
他人の思いとか希望とか、知らんがな。って言われたりしそうなもので、なのに、そういう託された相手が困るかも、みたいな躊躇が感じられない。
まあそれだけ必死で切実で切迫した思いなのかもしれないけど。正直ウザい。
いろいろと気になるとこや、えー…なんか…どーなのーぅ、みたいなとこはありつつ、暴走機関車並みに押しまくられるカオスっぷりの全開パワーと、妖怪すれすれ一輪車少女花ちゃんがしゅーっと来るのは、いっぺん観てみてもいいんじゃないかすぃら。
ぶっトびカオス。妙なパワーがうねっていて、巻き込まれる。連れて行かれる。
まさにワンダーランド。
・現代と昭和20年の人物がすれ違ったり、時空が錯綜する
・やたらなカット数の多さ。多くの場所、人物、時代、場面がくるくる差し挟まれるっつーか重ねられるっつーか、過剰な情報量の過剰さ全開
・登場人物がカメラ目線でいきなり観客に話しかけてくるメタ演出
・些細なことが過剰なテロップでいかにも重要キーワードふうに示され倒される饒舌
、とか、とかとか、
他にも、三味線ペンペケしながら花火解説んとこのミュージカルっぽさ?とか、舞台のお芝居と紙芝居の場面と映画的場面が交錯したりとか、サーカスみたいな一輪車とか、いろいろ盛ってる感じ。
つか、そういう手法の数々そのものはそんなに目新しいものではないんだと思う。
ただ、それらの盛りが気前よすぎるくらいの特盛りメガ盛りギガ盛り祭り。
で、そういう過剰さによって、尋常じゃない感・なんかヤバい感がみなぎりまくりまくる。うっすら狂ってる感すらただようほどに。
そのような過剰な様態に「戦争にはまだ間に合う」「この雨、痛いな」とか、謎の台詞がぼこぼこぶっこまれ、は?なになに?どゆことどゆ意味?って怪訝な気持ちを置いてきぼり気味に、ばんばん上述の過剰さに押しまくられる。
この、訳わからな感・置いてかれ感が速度として感じられる。上述の過剰さとともに、やたらなヴォリュームのものがえっらい速度で突進してくるみたいな感じ。暴走機関車みたいな。
ナゾの一輪車少女花ちゃんがイイ。すごい存在感。
このコがまるで重力を感じないみたいにしゅーっと現れ、ふわふわ揺れながら(一輪車のバランスとってるんだけど、なんか浮いてるみたいに見える)微笑む不思議な佇まい。
人間じゃないっぽい。妖怪すれすれつーか、何か兆しをもたらす先触れの精霊のような。
場面によっては不吉な感じもしてしまって、怖くて背筋がぞわーっときたり。
この少女自身が悪さをはたらいたりする訳では全然なくって、むしろ悪意や邪心は全然なく、ただ、「知らないから」「会いに来た」っていう。ただ、「会いに来た」少女。
「よかった、会えて」と言う台詞には、なんだかグッとこみあげるもんがあって、泣きそうになった。すごいさりげなくさらっと言うんだけど、そのさらっと加減がクる。観ている自分に言われたような感じもした。
一輪車に乗って、観客に会いに来た少女。みたいな。
いやしかし、一輪車ってすごいなー、というか、一輪車の画の使い方がすごいのか、何気ない風景をしゅーっと一輪車の生徒が通り過ぎる、それだけで場面が、何か予感とか兆しみたいなものを帯びる。
旗を立てた一輪車の一団が画面を横切ってく場面もあったりするんだけど、それこそ気になる場所に旗を立てるような、付箋はったり矢印書いたりするみたいな「!」が立つ。
この一輪車少女と一輪車団しゅーっを観るだけでも一見の価値あり。かも。
ただ正直言うと、訴えてくるメッセージとか主張にはイラッとしたりカチンとくるとこもあったりすんのね。甚だしく。
最後の花火ですべてが昇華されていくようなとこも納得いかないし。
一番キツく感じたのは、空襲の体験を紙芝居で小学生たちに語り聞かせる場面。
戦争はこんなに悲惨で恐ろしい、忘れないように風化されないように語り伝えて二度とこんなことが起きないように起こさないように、ていうアレ。
アレはキツい。子どもの頃、そういう話を見聞きさせられるのがすごい怖くて嫌だったの思い出す。地域の子ども会かなんかで、原爆のアニメ映画観させられてさ。ずーっとうずくまって耳ふさいでた。
そんなのサボればよかったんだけど、わたしは非常にまじめなお子さんだったので、観なきゃいけないと思ってた。嫌だからこそ観なくちゃいけないんだと。
で、わたしの中では、平和運動とか平和祈念、ってことになると、=怖い話、になっちゃってるのね。
これはもうなんか脅しだなと。脅迫だよ。怖い目に遭いたくなかったら平和にしろ。みたいな。
平和ってそーいうもんなのかな、と。
それにしても、なんかこう、自分たちの経験体験を次の世代に伝え、思いと希望を託す!みたいなことへの違和感がハンパない。
どうしてそんなに世代を越えて語り伝えてゆかれるべきほどに自分たちのことをかけがえなく思えるのか、すごい不思議というかなんというか。
他人の思いとか希望とか、知らんがな。って言われたりしそうなもので、なのに、そういう託された相手が困るかも、みたいな躊躇が感じられない。
まあそれだけ必死で切実で切迫した思いなのかもしれないけど。正直ウザい。
いろいろと気になるとこや、えー…なんか…どーなのーぅ、みたいなとこはありつつ、暴走機関車並みに押しまくられるカオスっぷりの全開パワーと、妖怪すれすれ一輪車少女花ちゃんがしゅーっと来るのは、いっぺん観てみてもいいんじゃないかすぃら。
「私は74歳で世間ではじじいと呼ばれる年齢だが、ベテランの少年だ」
「僕はよく週刊誌等で脱がせ屋と言われるけど、僕は脱がしたことなんて一度もない。着せてないだけだ。」
by タニプロ (2012-06-05 08:33)
え、これ↑大林監督の言葉ですか。
>ベテランの少年
それはキモい。
>脱がせ屋
知らんがな。
by シロタ (2012-06-05 18:05)
オレは見逃したんですがDOMMUNE(http://www.dommune.com/)に出演した際に言ってたそうです。
大林は確かに「脱がせ屋」みたいに言われてますよ。「ロリコン」とか。
ちょっと自慢っぽいけどあんまり自慢にはならないのですが、大林は若い頃うちの死んだじいちゃんが杉並でやってた本屋の常連だったらしいです。
by タニプロ (2012-06-05 20:15)
大林監督、相変わらずのようですねw
前作に続いてまたも花火で終了か~
もう、映画っていうか、「大林宣彦が作る何か」という感じで
いずれDVDが出たら笑って楽しみたいです.
by ヒノキオ (2012-06-09 21:25)
>タニプロさん
タニプロさんもご覧になったんすね、「この空の花」
大林監督映画ってそんなに縁がなかったし、最初はどう観ていいやら戸惑ったんですが、どんどん引き込まれて目が離せなかったですねー。
タニプロさんは意外と縁がおありだったんですね。>本屋の常連
by シロタ (2012-06-15 16:28)
>ヒノキオさん
大林監督映画ってほとんど縁がなかったんですけど、なんやら前作(『その日のまえに」でしたっけ)からカオスの片鱗があったんですね。
ヒノキオさんがご覧になったら感想なりとうかがってみたいです。
そういやシネマハスラーでも取り上げられたらしいですね。
ポッドキャストで聞いてみよかな。
いつもコメントありがとうです。マメに読んでもらってるみたいで恐縮。
by シロタ (2012-06-15 16:33)
この批評が良いです。
http://blog.goo.ne.jp/ereninotabi/e/0d6237ef228125653d9f958bed1d9c52
明日発売のこれに大林のインタビューが載ってるそうです。
http://www.kinejun.com/tabid/62/Default.aspx
by タニプロ (2012-06-19 20:40)