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年末年始に観たあれこれ [映画]

年末年始つうか、ちょっと前のやつもあるけど、うんまあまとめて。
相変わらずテレビ放映中心です。


「運命じゃない人」
へー。軽妙でおもしろかった。二回目に監督出演者コメンタリーONにして見んのが一番おもしろかった。


「ある映画監督の生涯」
いろんな人に溝口健二のことをインタビューして回るドキュメンタリ。溝口健二に多少なりと興味があればおもしろがれるかも。
しかしあれだな。芸術家とか表現に優れた人は破天荒で人間的にはイカれてる、またそうであってほしい、みたいなフィルターが全体に濃くかかってる気がする。


「噂の女」
溝口健二映画にうっすらムカつく理由がわかった。
女がひどい目に遭いつつ、負けずにしたたかに凌いで生きていく的な姿が描かれたりして女がんばれなんだけど、でも映画つくってるオマエは女を買うんだよな。かわいそうに、とかいいながら消費すんだよな。ていうムカつきなのかなー。まあその時代的にフツーの男の感性なんだろうけど。


「ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ」
→公式webサイト
今イチだった。佐野洋子の絵本とかエッセイ読めば事足りる。ていうか本の方がいい。
100万回の生を繰り返す猫のお話に沿って、いろんな女性の人生を重ねて示してくんだけど、それぞれにいろいろあって違った生とはいえ、まーおつらいこともあったんでしょうねえー的な薄っぺらいヒトゴト感漂う。ていうか何故に女性だけなのか。なんかヘンな意味付けが出ちゃう気がすんのよ、女として、母として、娘として、とか。
(個人的には)「100万回生きたねこ」は生と死のお話だから。女の話じゃねえから。

佐野洋子ご本人の、ざっくりぶったぎるみたいな話しっぷりは妙に引き込まれるものがあった。もっと佐野洋子の受け答えを出せばいいのに。

「生きてるってそんないいことじゃないと思うよ」
生きる喜び有り難さばかり礼賛される世間の価値観へのカウンター、的な。まあいろいろつらいこともあったりするよね普通に。
で、この言い方がゴミ箱にぺいっと放るみたいにざっくりしてたんで、笑った。そんなあっさり言うんだ。あっはー。

「なんのために生きるのかっていえば、愛するためだと思うのね」
これは、佐野洋子自身がいろんな人やものごとや猫を愛して生きたってことだと思った。真に生きた人だから言えることだと思う。なんのために生きるか、とかって、生きてみなきゃわからんだろからなー。
「死ぬ気まんまん」(このタイトルもいいわー笑)ていう本の、この世は美しい、って思った、っていうくだりがすごく印象に残ってて、その文章と重なってググッとクる。
この本は対談のとこがエラソーでイラッとするけど、後半の病院のくだりは凄い迫力がある。
映画はショボいけど佐野洋子は凄い。


「ブロードウェイと銃弾」
脚本に文句付けて仕舞いにゃオレが書く、挙げ句にオレの芝居だ、って芝居にハマっていくチンピラくんがキュート。一歩引いて冷めた感じの距離感が、観客を上から目線のヒトゴトサマで居させてくれて気持ちよいでござる。


「スペースカウボーイ」
爺がかっこつけんのはいいんだけど、そのために若造をバカとかヘボい役にすんのはいただけないぜ。
命令を聞かずに無茶した若い宇宙飛行士なんて役を出すあたりヒドい。失敗をバカな若造のせいにする爺、卑怯。


「恋愛適齢期」
キアヌ・リーブスの都合のよさ加減がパねぇ。若くてハンサムで仕事デキるっぽい医者でめっさ口説いて誉めたたえてくれて聞き分けよく引き際がよい。こんな都合いい男欲しい(笑)。


「セブンイヤーズインチベット」
んー。なんもしねえくせに父親ヅラして子どもとの絆だけ求めたがる主人公が心底どうでもよくて、ふーんあっそ、って観た。
中国によるチベット侵略、ていう政治的な面では興味深く観た。なかなかしんどかった。


「Shall we Dance」
リチャード・ギアのやつ。噂通り、周防監督版にかなり忠実なのですね。役所←→ギア、竹中直人←→スタンリー・トゥッチとか、比べる感覚で観ちゃって、それが楽しい。
人物のキャラクター的にも画ヅラ的にも泥臭さが抜けてスマートになってるかも。あく抜きしたみたいな。観るときの気分によってそれがよかったり、物足りなかったりしそう。


「次郎長三国志」
中井貴一のやつ。まあおもしろかったけど、女房が死にそうなとこがだるい。ていうか女房邪魔だからついてこなくていい。中井貴一もわりとどうでもいい。
はじけまくりの竹内力がよかった。意味わかんないクドさであっちゃこっちゃ出まくり。悪いことがあれば必ず竹内力。大変ステキすばらしい悪役ハラショー。







最近またいろいろ観た [映画]

なんかこう、複数タイトルだらだら書くのはいいんだけど、だらだら書き過ぎて記事いっぽんぶんにまとめたほうがよかないか、でも一本にするには文章量足りないかもねえ…ていうどうでもいい前置きしつつ、結局複数タイトルだらだら書き散らしてるよ、っていう。だらだら万歳。


「インセプション」
テレビ放映で観た後、えらいことお気に入り。こーいうの好き。すごく好き。DVD買っちったぜ。
うすーく病んでる感じ、夢の中の危うい感じが大変ステキだ。
憂い顔のディカプリオさんも良。「(500)日のサマー」のほわほわ人の好い青年くんの印象しかなかったジョゼフ・ゴードン=レヴィットくんが仕事デキるマンになっててグッとキた。オールバックで三揃えなんか着ちゃってかーっこいいじゃーん。
コブの心の中の妻の存在感がイイ。妻の姿をした悪夢、怪物的に禍々しく恐ろしい、と同時に、優しく儚くせつない思い出でもあって、その揺れがもどかしく悲しい。黄泉の国に死んだ妻を訪ねるオルフェウスのお話思い出した。
夢の設計士がアリアドネちゃんて名前だったりすんのも、なんかいろいろと含みがありそうで深読みが楽しい。


「バットマンビギンズ」「ダークナイト」「ダークナイトライジング」
「インセプション」が大層気に入り、同じノーラン監督作ってことで観てみたんだけど、ははあ。つまんなかったでござる。期待しすぎたかな。でもすっごく評判いいよね。
ゴッサムシティちゅーとこがちっとも特別で大切な場所に見えなくって、故にブルース・ウェインの苦悩にびたいち興味関心を持てず、どーでもいいわーって感じで観ちった。
ていうか、なんなのこのハーバード白熱教室。これからの正義の話をしちゃうの?
人命の賭かったエグい決断を迫られることがすなわち=深く人間性を描写するお話とは思えなくて、そりゃ単にエグい話ってだけじゃないかなー。そのような決断を迫るおまえはどこの何様なんだよどこの棚にあがってやがりますのか、って話じゃね。


「シルビアのいる街で」
へえ。へーえ。おもしろーい。お話的にはどーちゅーことないけど、映像が観てて気持ちいい。
最初は、なんとなく観光ふうに街の風景を切り取ってるのかと思ったんだけど、構図とか光とか通り過ぎる人物の配置や動き、靴音や雑踏の音楽や生活音まで、すごく緻密に画づくりされてる。
カフェの客がくつろぐさまを延々観察する場面とかおもしろかった。手前の人物と奥の人物がつくり出す構図の妙とか、ピントの合わせ方で視点が変わったりとか、それがリズムを生んで、特段派手な動きがあるわけでもないのに、なんかドキドキする。
女性を追いかけるとこは、お話的に強く牽引する動き。その場面では、靴音が強弱したり、なんども繰り返し現れる“LAURE JET' AIME”の落書き、アフリカ系の物売り、ポスターのポーズと同じ仕草、とか、どっかで見たことある、気になる人物や事物が繰り返し反復されて、そのたびにドキッとする。
そうだ、バーのカウンターの女性、マネの絵を引用してんのかな? とか、ちょっとした場面に様々な仕掛けが凝らされてるみたい。
それらの反復や引用によって、なにか慕わしげな、懐かしいような、せつなくキュンとクるような、そんな感触を感じる。女性を恋愛対象とする人が観たなら、もっとキュンとクるかもね。


「ターミネーター3」
テレビ放映の「T4」観て今ひとつなんかこー、個人的に盛り上がりに欠けたもので「T3」中古DVDをポチりました。ターミネーターシリーズで最も不評を誇るだけあってトホホな安価。でもわたしはコレが一番好きなのね。
なんつーか、昔懐かしいSFの香りがする。フィリップ・K・ディックとかあのへんの薄暗い感じ。映画「12モンキーズ」のラストとかもそうなんだけど、未来が決定される、人知の及ばない決定的なことがあって、それが厳然と示されるってことに妙な安心感を覚えるつーか。
あと、「T3」はよく見ると、ニック・スタールのうらぶれた風情もジョンの育ちを考えると納得だし、クリスタナ・ローケン様の凶暴ぶりと裏腹なキョトンには萌え萌えだし、シュワちゃんの葛藤にはこれこそマシンの自我の目覚めではないのかと膝を打ち、クレーン車吊りとかトイレ格闘とか見どころどっさりだし、全然アリアリじゃないですか「T3」どうよ。どうよどうよ(鼻息フンガー。






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「友よ、静かに暝れ」 [映画]

シアター092でやってたのをテキトーに録画しその後忘れて放ったらかしといたものを録画番組の整理してて思い出し、洗いものとかしながら流し観しようとしたんだけど、なんか気になって作業やめて最初っからちゃんと観た。観させられたって感じか。
冒頭の海岸線を走る車から沖縄の市街の画ヅラ、縦詰めにきりっと入るタイトル、と、なんかいちいちかっこよくて。ただごとでない緊張というか、ただものじゃない感が漲るのね。

派手なアクションどかんどかん連発ってんじゃなく、むしろ淡々と静かな場面が続くんだけど、常に一触即発な緊迫感がびたびたに漲りまくり、手に汗握る。はらはらする。
藤竜也の抑制された素っ気ない感じがキいてる。胸のうちにギラッとしたものを潜ませているみたいに見えて、ただものじゃない感全開。

画もよくって、沖縄の風景、街や人の切り取られ方に、その土地の温度や湿度、風土、街の気配みたいなものが濃厚に感じられて、ヒリヒリするような緊張感を逃さない。
ていうか、企業に地上げられそうになってて、しかも周りんちはみんな企業側について孤立してて、っていう友達にナンかあって警察に拘留されたんで手助けに来たよ、ていうお話的にも、その濃厚な土地の気配がすんごくキいてる。

倍賞美津子がイイ。眼差しとかハスキーな声が印象的でドキッとする。なんかヤバい感じの色気があってすげえイイ女。
元ボクサーの部長(笑っちゃうくらいスーツ似合ってないの。役柄的にそれがいいんだけど、出てくるたび笑った)も刑事(日和見加減が絶妙)もいいキャラ。
登場人物も風景もいろいろと濃くて、けど濃いだけじゃなくってスッキリ抜けたとこもあってピリッとスパイス効いてて、すごくいいバランス加減なんだと思った。

あーでもな。ラスト、父親の死にざまを子どもに見せるつーのはうへーと思った。俺の生きた証を刻んでゆくぜ、ってか、ナルナルしー。
生きざまでも死にざまでもなんでもいいけど、それを見せられたほうの子どもはどうすりゃいいのさ、って思うと、もうね。子どもには子どもの人生があろうがよ。
それが子どもを成長させるのだ・俺を超えて行け的なアレかハイハイおまえさまの生きざま死にざまはご大層なものでございますね子どもを成長させるのはあんたさまでなくちゃならないんですわねー(棒。
と、最後に鼻白んでみた。うん、でもかっこいいよ←とってつけたように。





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最近観たあれこれ [映画]

数本まとめてだらだら感想書くのがけっこう楽しい。


「ランゴ」
なんだろ。なんかシュールっつか、ヘンな魅力。画ヅラがカッコいい。キレ味いい。
お話の語り口が、微妙に乾いて冷めた感じのとこが好き。びちょっと湿っぽくないの。
キャラクターの造形が、モデルになった動物の特徴をつかんで活かしててイイ。かわいくし過ぎてないのもいい。ときどき固まるビーンズちゃんがブキミかわいい。殺し屋のガラガラヘビが超イカす。


「ターミネーター4」
ふーん。なんだそうですか。ってなっちゃったのは、なんかもう機械vs人間て対立する図式が古くなっちったからではないかすぃら。
自我に目覚めたコンピュータがマシンが、とか言う割に、自我ってるマシンがいっこも出てこなくって、単にしぶとく追っかけてくるハナシ通じない化け物扱いで既にゾンビと変わらなくねえ?
で、そんなとこに「俺は何者だ機械か人間か嗚呼」とかって葛藤して自我るマーカスくん登場に期待したらなんかアレで、ふーん、ああ…、なんだそうなの。ってしゅんしゅんとサガった。
つーか今さら言ってもナンですが、機械=敵、機械じゃなければ人間で必ず味方、って世界観もどうなの。味方機械とか敵人間て出てきてもいんじゃないの。
とはいえ、がっつんがっつん派手なアクションは結構な迫力だし、ところどころに「I'll be back」とかターミネーターシリーズのお約束的なことを散りばめてあるのは楽しかった。


「ボーン・アイデンティティ」「ボーン・スプレマシー」
ボーンくんがさくさくプロの仕事こなしてくさまがスピーディで気持ちよくて感心。敵をやっつけるアクションとかも最小限の労力で的確に片付けますぱきぱきぱき、って感じでお片付け上手感ハンパない。
その割にお話はヌルい。まあ人間だから情動に動かされるってのはもちろんあるだろうけど、そんだけばきばきに訓練された人間が情動で動きまくるのってどうなの。


「大奥」
二宮くんのやつ。へーえ。テレビ放映で観たもんで、なんやらカットされた場面もあったらしいけど、結構原作に忠実につくってんだね。今やってるドラマの家光・有功編もちょろっと観たけど、アレもかなり原作通りなんだねーびっくり。
二宮水野くんが幼なじみの信ちゃんを思って泣く場面とかはなかなかぐっときた。
しかしなんでこう時代劇感がウスいんだろうなー。なんだろやっぱ体格とか身のこなし?
それにしても、こうも原作通りだと原作読んどけば事足りる感が。なんかすごくウスくてカルい挿し絵を観てる感じ。


「ニュースの天才」
ヘイデン・クリステンセンのハマりっぷりがスバラシい。演技力なのか素の佇まいなのか、空港に送ってよ独りになるのがコワいんだボク、の場面とかのヘタレ構ってちゃんぶりにどひー、ってなる。うぜえ。スターウォーズのアナキンくんの承認欲求まる出しの危なっかしさも彷彿。
とはいえ、ひとりの記者がこんだけやらかしちゃったのは、たぶんチェック体制に問題があったんじゃないのかな。
みんなの期待に応えなくっちゃ、ていうプレッシャーとか、過剰適応して周囲に応えようとし過ぎる心理はわたしもあるなー。自分の評価を周囲に委ね過ぎちゃうっつか。そのへんは身につまされる。


「デモリションマン」
うっはっはっはー。へー。いろんな意味でおもしろかったでござる。お話的にもなかなかだし、ビミョーなB級感とかハンパな懐かし感とか、スタローン若っ、とか、サンドラ・ブロック出てたんだへー、とか。
犯罪が抑制された代わりに(?)、酒やタバコや肉食や健康によろしくないものが規制され、よろしくない言葉遣いに警告が発せられて罰金くらったりとか、お清潔でお上品な未来世界の欺瞞、ていうちょっと穿った感じがなかなか興味深い。
これまた午後ローで観たのでカットされた部分もあるらしく、今度借りてきてちゃんと観よう。


「エクスペンダブルズ」
むきまきもき筋肉祭り。が、なんにも考えずにどかーんばきーん大暴れですっきりー、とはいかず、なんか。あんまし。いまひとつ味が足りない感じの。「大男、総身に知恵がまわりかね」っていう川柳思い出した。
つか、肝心のアクションシーンが薄暗くって、誰が何やってんだかよくわかんないの。やっつける相手としても、命令通りに動いてる下っ端感満載の兵隊を木っ端にしてもスカッとしないしな。
豪華キャスティングは結構おもしろがれた。スタローンとシュワとブルース・ウィリス三人揃い踏みとか、それだけでうっはー。かと思ったらほんとにそれだけでやんの。
ジェット・リーさまはいちいちちっちゃい子扱いされて地味にキレてボコり。ちなみに「小男は総身の知恵もたかが知れ」ていう川柳もありますよね…。
ステイサムはおなごにフられてヘコみつつ、無茶するスタローン親方とかチーム連中の面倒みるおっ母さんみたいで、ミッキー・ロークは引退した運動部の先輩がたまに顔出しておごってくれるよ、みたいなんだった。
うん、ステイサムおっ母さんがいいな。




最近観たあれこれ [映画]

主にTV放映を録画しといたやつ。
「ミッドナイトアートシアター」「映画天国」は、時々「おっ、これは」て気になるのをやってくれたりして侮れない。「シアター092」はシブい。「午後のロードショー」はタマ数が多いので数うちゃ当たる的にたまに好みに当たる。


「ラースと、その彼女」
ナイーブな青年がラブドールを恋人にする、とかいうあらすじに、なんかキワモノっぽいつーかエグめのコメディなのかなーとか思ってたんだけど、全然違ってとてもセンシティブな、丁寧な映画でござった。
まるでカウンセリングの過程を見ているかのような。
主人公に対する周囲の人たちの距離感が近過ぎず遠過ぎず、ほどよい見守り感でイイ。お医者さんがミョーにカッコいい。物事に動じない感じがクール。


「上を向いて歩こう」
映画的にはどっちゅーことねんだけど、高橋英樹!が超ぉぉぉぉぉぉカッコいい。正統派ハンサム。つか、今もカッコいいよね…。


「あにいもうと」
京マチ子が超絶色っぽい。お昼寝してるとことかヤバい。後半の商売女ふうなあだっぽさもうわーってなる。
兄妹喧嘩の寸前の、首の後ろがちりっちりするような緊張がたまらん。おはぎ食べながらぎろぎろにらみ合うの。また喧嘩が無駄に激しくって、何故にそんなひっぱたいたりすんのかお兄ちゃんは。つーか昔は女殴るなんざどってことねえ、な世界だったのかも。やだやだDV男がデフォなんてやな時代だねえ。


「ミスト」
うぎゃあああああああ。もーコレ観るんじゃなかった。超イヤ。記憶消したい。
クリーチャーがかなりめの迫力で気持ち悪い。閉塞した空間で緊張を強いられ、不安と恐怖からカルトにとりこまれてく人間模様がリアルに最悪怖い。結末がまた容赦なくぶちぶち希望を潰してくれやがる。後味極悪。
かといって結末がアレじゃなければいいのかっつーとそうでもない気もする。
これはこれで、非情で無惨で救われないクソな世界をものすごい完成度(出来不出来で言ったらすげえクオリティ高いんだと思うのよ。好き嫌い的には大嫌いだけどな!)で徹底的にやってくれやがったってことでアリなのかもしれないけど、わたしゃヘタレなんでそういうの観たくないんですよったらうわあああん(マジ泣き)。


「ヴィレッジ」
ヘンな緊張感がたまらん。ピリピリに張りつめつつ、どこか諦めが漂ってるような。
ブキミ村の住人たちの茫洋とした表情がブキミ怖い。村の景色が牧歌的にきれいなのがまたブキミ感倍増。でもこーいうの好きかも。
画ヅラもいい。ブキミ寂し悲しきれい。空気感が繊細で、人物の肌や金髪がやたらきれいに映る。
ブキミ村の秘密が、少しずつ、徐々にレンズの焦点が合ってくみたいに明らかになるのが、推理小説の謎解き的に気持ちいい。


「マンマ・ミーア!」
ミュージカルのノリってハマれないとキツいよね…なんでいきなり歌い踊り出すのさテンション高すぎだよ君らさすがにサムいよその展開…、とかヒキ気味で観てたんだけど、あまりのハジケっぷりにしまいには、すいませんわたしが間違ってました、って折伏された。楽しむのが正しい。
おばさま・おじさま達が素敵すぎる。しわとかたるみとかもったりした肉付きの体格や表情がすっごく魅力的。若者らも素敵なんだけど、なんか物足りなく見えてくる。
エンディングのキラッキラなドナ&ザ・ダイナモスには口開けて見入った。ペンライトとか名前入りモール飾りうちわとか振りまくりたい。
このようなオトナげないおばさんになりたいわー、などと思った。ステキ。


「マダガスカル」「マダガスカル2」
これはレンタルで。いつのまにかTSUTAYA旧作100円になっとったのな。
このテの安心して観てられる感、この頑丈さはスゴい。キャラ任せのだるだるなお話(特に2なんてNYのおばさん任せってアリなのか)も画ヂカラで見せきるつーか、カートゥーンな動きが気持ちよくってつい観ちゃう。
ちっちゃい子どもをおとなしくさせとくのに重宝される系のかなり強力なやつと思われ。
踊るのスキスキ♪なダンスんとこは繰り返して観ちった。やっぱりキング・ジュリアン様最高。








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「マダガスカル3」 [映画]

→「マダガスカル3」公式webサイト

3D、日本語吹き替えで鑑賞。
実は1と2は観てない。んだけど観に行ったのは、なんかどっかで(最近どこで見聞きしたんだかすぐ忘れる。Twitterかなんかだったかな)「実はスゴイらしい」って小耳に挟んだもんでな。

「ヒックとドラゴン」もそうだったけど、まー3D効果をフルに狙ってるつーか、飛行や跳躍の体感を存分に繰り出してきて、気持ちいい気持ちいい。愉快痛快爽快。

わりと初っぱなのモンテカルロ市街のカーチェイス→飛行機に乗り移っての空中戦からして、疾走感がハンパない。
ありえないカーブをぐりぐり攻め込んだり、頭蓋骨はどうなっとるのかオマエってくらいに身をすくめたり、建物の壁をぶちぶち突き破って無傷は驚くにあたわずスピードダウンすらしない無敵っぷり、とか、アニメならではの極端に強調されたカートゥーンな動きがおもしろ気持ちよい。
正しくトムジェリを継承してる的な。

キャラクターがまたビッキビキにたってて、特にシマウマのマーティ、最高。柳沢慎吾の吹き替えがピッタリ過ぎる。顔立ちからして柳沢慎吾が中に入ってるだろうこれ、ってくらいシマウマ=柳沢慎吾。
わたしのお気に入りはワオキツネザルのキング・ジュリアン。もーあいつ、くるくるちょろちょろちょこまかと、じっとしとることできないんか、ってくらいなちょこまかっぷりで、身近にいたらまあ落ち着け、って両肩掴みたくなるだろうけど、でもそのちょこまかと陽気なハイテンションがツボ。楽しい奴。
ぷりぷりセクシーヒップのカバのグロリアさんとか、カンブリア宮殿並の有能職能集団ペンギンズ、何故にそんなに動物を殺したいのかわからんナゾの情熱をたぎらせまくった変態デュボワ警部とか、濃いめのキャラにおされて主役のはずのライオン・アレックスがわりと地味めに薄めに収まっちゃってるのはまあよくある構図かも。アレックスはでっかいお手手がかわいいです。

で、クライマックスのサーカス!サーカス!
とにかくサーカス! 超気持ちいい!
虎の輪くぐりの緊張から、螺旋状に立ち上がってくるステージ、地面が画面から消失して、宇宙的な空中3D感の中で繰り広げられるのが幻想的。あとさ、サーカスってなんかこう、鼻がツンとするようなノスタルジックな感じがあるじゃん、ああいう懐かし鼻ツン感もありつつ、登場人物のキャラクターと演目の特徴がまたぴったり合っててショウ的にもお美事。
空間を浮遊するまさしく“空中”ブランコはライオンと豹の猫科っぽいしなやかさがぴったりだし、シマウマとアシカのハジケたキャラがロケット射出っていうアホっぽい冒険野郎な演目に合ってる。
カバとキリンの綱渡りダンスは、ぷりぷりグラマラスなカバとやたらひょろ長いキリンのアンバランスな組み合わせが綱の上で華麗にバランスとって踊るのがスリリング。

あ、お話はそれほど凝ったものではなくツッコミどころも多々あれど、とんでもなく破綻してたりはしない安定感で安心の仕様。

とにかくサーカス!サーカス!
サーカス場面だけでもおかわりしたい。
♪だったったららららったったったん♪っていうテーマ曲が脳内無限ループ中。

そのうちシリーズの1と2も観ようっと。






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「おおかみこどもの雨と雪」 [映画]

→「おおかみこどもの雨と雪」公式webサイト

「時をかける少女」も「サマーウォーズ」も全然刺さらなかったのであんまし観る気なかったんだけど、賛否両論毀誉褒貶があんまし激しいもので、気になって観てきた。

うん、刺さらなかった。
「時かけ」も「サマウォ」もそうなんだけど、なんでこんなになにも感じないんだろう、てくらいコない。掠りもしない。

絵もきれいだし動きも気持ちよいし、雪ん中転げまわるとことか超気持ちいいのに、なんか気持ちが逸らないつーか、つるつる滑って残らない。
あ、あの背景が写真みたいなんはどうなのかな。きれいだけど人物の写実度との兼ね合いでときどき違和感あったな。


なんでこんなにコないんだろなー、ってつらつら考えてみたところ思い至ったのは、あれだ、リアリティに欠けるということであった。(※文末に追記アリ)
いや、欠けるというと語弊があるかな、わたしがリアルと感じるツボとズレる、ってことかも。


花ちゃんがナゾ過ぎる。
この人、かなりめに大変な状況なわりに、一度も愚痴ったり不平不満を垂れたり怒り猛ったりしない。なんでも受け容れてニコニコしてる。
なんか困った事態に至ると、困ったように へにゃ〜、と笑う。
つらいときも困ったときも笑え、笑えば何とかなる、とかいう父の前向き推奨な人生訓に従ってのことらしいんだけど、なんだか花ちゃんがそういう楽観的で前向きな性格だから、っていうふうには見えなくて。
こんな人居ねえよ的な違和感ばっかり感じてしまう。

こんなに子どもを叱らない母ちゃんて居るのかな。
叱らずにやさしく教え諭して話通じるんならそのほうがいいのかもしれんが、それ相当精神的に余裕がないとできなくない? で、精神的な余裕って生活に余裕がないと無理じゃね?
ましてやこんな野生的な子たち、へにゃ〜っと笑って相手できる生き物じゃなくねえ?
あ、そうそう子どもらは逆に大変リアルであった。パワー全開に生命力にあふれて活き活き。くるくる耳やら尻尾やら出したり引っ込めたり、姉弟の性格の違いとかもありそうな感じ。
だもんで余計に、花母ちゃんそんなで子どもらと渡り合えるのかなー、と。

「崖の上のポニョ」のリサ母ちゃんの方がよっぽどブットび度・超人度が高いのに、こんな人居ねえよ度は花ちゃんのほうがゲージMAXで高い。わたしにとっては。


他にも、
都会での子育てムズカシさ描写も類型的過ぎね? あんなずさんなアプローチする児相職員てどうなの? 
とか、
田舎の人たちみんなイイ人過ぎね? 善意のお節介的にはバンバン再婚薦められコース一直線じゃね? つか冷たい都会←→あったか人情田舎って安直過ぎね? 
とか、
そもそも生活費は? そんなに貯金できてたようには思えんのだけど? 
とか、しまいには
なんでそんなに雑草が生えないのその畑?(いやすんません今うちの庭の雑草がすごくて草取り大変なもんで気になるの個人的に)
とか、そんな些末なことまで、いちいち細かぁーく、シュートメがヨメの家事チェックするが如くにツッコみたくなる。

おとぎ話でファンタジーなんだから現実的でなかろうが目くじらたてなくても、とか言われればそりゃそうなんだけども、だったらこんなに細かい生活の描写はなんなの、っていう。そりゃ、おおかみにんげん、ていうファンタジーを支えるための現実社会のリアル描写なんだと思うのね。
で、そのリアル描写がわたしにはいちいち細かくズレるものでリアルに思えず、つまりはリアリティに欠けて、お話自体がつくられた表層的なものに思えてしまう。

(考えてみれば「サマウォ」もそうだった。
数学オリンピックに出らんないレベルの学生に突破されるセキュリティってなんなの? とか、そもそもOZって中央集権的なシステムそのものがパソ通時代っぽくね?古くね? とか、細かく気になって入り込めなかった。)


お話的にも、結局なんでおおかみか人間かどっちか選ばなきゃいけんの? などと。
おおかみであり人間であり、同時にどちらでもないおおかみ人間として、山でも人間社会でも生きていくことってできないのかな。
むしろいま現代においては、良くも悪くも個性の強い“おおかみっ子”が社会から排斥されずに生きていく物語、そっちのほうが、ぜひに表されてほしいと思うお話だったりするな。


で、とどめにエンディングの「おかあさんの唄」にはヒいた。
気持ち的に軽く500メートルくらいは後ずさった。勘弁。


とかあれこれ書いたけども、おもしろく観れたとこもあった。
チビの頃は甘えん坊で長ずるにしたがって男前になってく息子、って、母親にとってはキュンキュンくる萌えツボなんだろなー、とか、嵐の夜カーテンべらべらはためかせながら秘密の告白、って、わーそれ自分がおおかみ人間だったら絶対やりてえ、とか。

うん、えーとあれだ。結局毀誉褒貶を追加しただけっていう。


2012.8.11 追記
その後、逆かもしれん、と思い至った。
リアルに感じないから気持が動かないんじゃなくて(まーそれもあるんだろうけど)、気持が動かないんで些末なことが気になるのかも。実際のとこ畑の雑草なんてどうでもいいし。

これ書いた後、「ポニョ」が観たくなって観たのな。これだって親子間名前呼びとか乱暴運転とか子どもおいて出かけるリサとか結構有り得んが、別に気にならない。
それよりも、もっとガッツリ持っていかれるシーンがあったからな。

というわけで、何故にコないのかはわからない。というか言語化できない。今んとこ。
しかも何故なのか追求したい気持もわりと早めに冷めそうな、何故こんなに冷淡なのかわたしは。





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「ヘルタースケルター」 [映画]

観た。映画のほう。→「ヘルタースケルター」公式webサイト
原作は未読。

映画「さくらん」がアレだったのであんまし期待してなかったんだけど、期待せずに観たのがよかったのか、意外と悪くなかった。

日本独特の幼女文化的カワイさ全開つーか、キッチュでキワどい悪趣味すれすれな感じを過剰にかます蜷川実花テイストがうまいこと話に噛んでる。

衣装とかファッショングラビアの撮影場面とかりりこの部屋とかすげー楽しい。
真っ赤っかとか どピンク とか盛りっ盛り、キラキラじゃらじゃらふわふわ満載。
ヤバそうな病院の手術室とか包帯ぐるぐるな病んでる感とか、もー超嘘くさくてその嘘くささ・つくってる感・わざと感がサイコー。

りりこが錯乱して幻覚をみる場面、イチゴにぐばっと目が開いたり、キュートでポップな品々が悪趣味毒毒な悪夢に変貌する様はすっげ狂っててイイ。
ていうか、そもそものキュートポップな品々にはもとから毒が仕込まれてるかのような、悪夢との地続き感があんのよね。そういう、日常に潜む狂気ががばっと裏返って出てきた感じがヤバくてイイ。

たまにやり過ぎつーかスベってるとこもあって、謎のポエマー検事の仕事部屋のわざとらしさには笑った。換気扇くるくる越しに光が漏れてるその演出はなんなんすか(笑)。いかにもな刑事部屋っぽさ、的な。


で、沢尻エリカが大変よい。
きれいでカワイくてぴかぴかキラキラなオーラ出まくり。
すごくよい。よいが。よいのです。が。
凶暴でキレッキレな壊れっぷりも見応えあるんだけど、なんだろうかねー、なんかすっごく頑張ってキレてるつーか、周囲から求められるイメージに精一杯応えてる感があるというかねー。うん、頑張ってた。
セックスのシーンとかも、放埒で貪欲なヒトを一生懸命演じてるって感じで、セックスなんてりりこにとっちゃどってことないであろう行為が一大事な場面に見えて、なんかこういたたまれないつーか。
場面によっては痛々しいほど、頑張ってた。

沢尻エリカってわがまま女王様的な扱われ方だけれども、ひょっとしてすっごく生真面目な人なのかなーなどと思った。

そういう頑張ってる感が、りりこという人物の造形としてはいいのかどうかよくわからないんだけど、後半、りりこが崩壊してくあたりにはすごいキいてて、りりこ=沢尻エリカがとても可哀想で哀れだった。
ここいらへん、りりこが哀れでいいもんなのか、ちょと疑問ではある。原作読んでみたい。


あと、ナゾなのはとにかくポエマー検事。断じてpoetなどではない、へっぽこポエマー。
大真面目にポエムをぶっ放すので吹きそうで困る。なんなのこの人。
いきなり「やっと会えたね、タイガーリリー」とか雰囲気たっぷりに言われて「ハァ?」ってなんないのは難しいぜよ。
役どころとしてはりりこを追いつめる重要な役であるらしいのに、ポエムな台詞まわしが上述のわざとくさい仕事部屋で呟かれてそのたんびに興が冷める。キッツい。

あ、あとさー、ザ・卑屈マネージャー羽田ちゃんがりりこの全身整形をマスコミにリークする行動は何故かよくわかんなかった。
崇め奉ってた完璧なりりこが完璧でなかったことに裏切られたと思っての復讐ってことかなー、とか思ったんだけど、ポストにつっこんでるときニッコニコしてんだよね。すっごくイイコトしてるあたし!的なニッコニコ。なんだろねあれ。

あとなんかテンポがよくないのか、妙に長く感じた、とか、ところどころやっつけで片づけた感、とか、やっぱり原作の解釈としてどうなのか、とか、原作発表時の時代背景と現代のそれと違和感ないのか、とか、なんだかんだいいつつも、まあ悪くなかったです。






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「この空の花」 [映画]

→「この空の花」公式webサイト


ぶっトびカオス。妙なパワーがうねっていて、巻き込まれる。連れて行かれる。
まさにワンダーランド。


・現代と昭和20年の人物がすれ違ったり、時空が錯綜する
・やたらなカット数の多さ。多くの場所、人物、時代、場面がくるくる差し挟まれるっつーか重ねられるっつーか、過剰な情報量の過剰さ全開
・登場人物がカメラ目線でいきなり観客に話しかけてくるメタ演出
・些細なことが過剰なテロップでいかにも重要キーワードふうに示され倒される饒舌
、とか、とかとか、
他にも、三味線ペンペケしながら花火解説んとこのミュージカルっぽさ?とか、舞台のお芝居と紙芝居の場面と映画的場面が交錯したりとか、サーカスみたいな一輪車とか、いろいろ盛ってる感じ。

つか、そういう手法の数々そのものはそんなに目新しいものではないんだと思う。
ただ、それらの盛りが気前よすぎるくらいの特盛りメガ盛りギガ盛り祭り。
で、そういう過剰さによって、尋常じゃない感・なんかヤバい感がみなぎりまくりまくる。うっすら狂ってる感すらただようほどに。

そのような過剰な様態に「戦争にはまだ間に合う」「この雨、痛いな」とか、謎の台詞がぼこぼこぶっこまれ、は?なになに?どゆことどゆ意味?って怪訝な気持ちを置いてきぼり気味に、ばんばん上述の過剰さに押しまくられる。
この、訳わからな感・置いてかれ感が速度として感じられる。上述の過剰さとともに、やたらなヴォリュームのものがえっらい速度で突進してくるみたいな感じ。暴走機関車みたいな。


ナゾの一輪車少女花ちゃんがイイ。すごい存在感。

このコがまるで重力を感じないみたいにしゅーっと現れ、ふわふわ揺れながら(一輪車のバランスとってるんだけど、なんか浮いてるみたいに見える)微笑む不思議な佇まい。

人間じゃないっぽい。妖怪すれすれつーか、何か兆しをもたらす先触れの精霊のような。
場面によっては不吉な感じもしてしまって、怖くて背筋がぞわーっときたり。
この少女自身が悪さをはたらいたりする訳では全然なくって、むしろ悪意や邪心は全然なく、ただ、「知らないから」「会いに来た」っていう。ただ、「会いに来た」少女。

「よかった、会えて」と言う台詞には、なんだかグッとこみあげるもんがあって、泣きそうになった。すごいさりげなくさらっと言うんだけど、そのさらっと加減がクる。観ている自分に言われたような感じもした。
一輪車に乗って、観客に会いに来た少女。みたいな。

いやしかし、一輪車ってすごいなー、というか、一輪車の画の使い方がすごいのか、何気ない風景をしゅーっと一輪車の生徒が通り過ぎる、それだけで場面が、何か予感とか兆しみたいなものを帯びる。
旗を立てた一輪車の一団が画面を横切ってく場面もあったりするんだけど、それこそ気になる場所に旗を立てるような、付箋はったり矢印書いたりするみたいな「!」が立つ。

この一輪車少女と一輪車団しゅーっを観るだけでも一見の価値あり。かも。


ただ正直言うと、訴えてくるメッセージとか主張にはイラッとしたりカチンとくるとこもあったりすんのね。甚だしく。
最後の花火ですべてが昇華されていくようなとこも納得いかないし。

一番キツく感じたのは、空襲の体験を紙芝居で小学生たちに語り聞かせる場面。
戦争はこんなに悲惨で恐ろしい、忘れないように風化されないように語り伝えて二度とこんなことが起きないように起こさないように、ていうアレ。
アレはキツい。子どもの頃、そういう話を見聞きさせられるのがすごい怖くて嫌だったの思い出す。地域の子ども会かなんかで、原爆のアニメ映画観させられてさ。ずーっとうずくまって耳ふさいでた。
そんなのサボればよかったんだけど、わたしは非常にまじめなお子さんだったので、観なきゃいけないと思ってた。嫌だからこそ観なくちゃいけないんだと。

で、わたしの中では、平和運動とか平和祈念、ってことになると、=怖い話、になっちゃってるのね。
これはもうなんか脅しだなと。脅迫だよ。怖い目に遭いたくなかったら平和にしろ。みたいな。
平和ってそーいうもんなのかな、と。


それにしても、なんかこう、自分たちの経験体験を次の世代に伝え、思いと希望を託す!みたいなことへの違和感がハンパない。
どうしてそんなに世代を越えて語り伝えてゆかれるべきほどに自分たちのことをかけがえなく思えるのか、すごい不思議というかなんというか。
他人の思いとか希望とか、知らんがな。って言われたりしそうなもので、なのに、そういう託された相手が困るかも、みたいな躊躇が感じられない。
まあそれだけ必死で切実で切迫した思いなのかもしれないけど。正直ウザい。


いろいろと気になるとこや、えー…なんか…どーなのーぅ、みたいなとこはありつつ、暴走機関車並みに押しまくられるカオスっぷりの全開パワーと、妖怪すれすれ一輪車少女花ちゃんがしゅーっと来るのは、いっぺん観てみてもいいんじゃないかすぃら。




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「Pina / ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」 [映画]

→公式webサイト(予告篇がはじまります)

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凄かった。鳥肌。
身体表現てクるときにはすごいとこにクるね。

ピナ・バウシュという人の舞踏は全然知らなかったのだけど、いわゆるヒップホップダンスみたいな、音楽のリズムに添った動きの快感ではなくって、むしろそういう快感を否定するみたいだった。
ていうか、普段TVとかで目にするダンスの類は音消したら観てらんなくなる、つまり実はダンスじゃなくて音楽を観てるのかもしれない、と気づいた。

で、そういう音楽の快楽じゃなくって、純化された肉体の官能・モーションの快感(あるいは不快感)、みたいなものが圧倒的に迫ってくる。
ただキレイとかカッコいいとかではなく、もっと生々しく匂ってくるようで、なんかこう気圧されるというか、嫌悪すれすれみたいなとこもありつつ。
快とか不快とかおもしろいとかおもしろくないとか超えて、目が離せない。
観てる間中、なんか泣きそうになってた。

中腰の姿勢から片方のかかとを、くっ、とあげる、ただそんだけの動きに、背筋がざわーっと痺れてみたり、ほんの小さな動作ひとつにハッとさせられる。

または、繰り返し反復される動作に耐えられなくなりそうで、きーって叫んで殴りかかって止めたくなる。

もしくは、水や土を浴びてまみれるような激しい動作に、その激しさとは裏腹な、素朴で暖かな充実感・静かな充足を感じたり。

観ていて、泣きたいような、叫びたいような、誰かにしがみつきたいような、狂おしい衝動がこみあげてきて、なんかもう大変だった。
あーもー忙しい忙しい@自分内w。


舞台の演出そのままの場面だけでなく、合間に挟まって、街とか森とか工場とか舞台以外の風景を背景にダンサーが演技する場面があって、それがまたキいてくる。
舞台じゃない、観ている側の生活の場面にも重なるような一般の市街・そこいらの風景に、およそ一般的ではなく日常的でない動きをする人が配される。
その動きに呼び起こされる身体、その息づかいや佇まい、それが自分の体にも息づいていることが思い起こされる。
自分は観ているだけの観客ではない。っていうかな。
自分も動いている、踊っている、生きている、その体。と気づかされる。

また、演じたダンサーの肖像が、句読点を打つみたいに挿入されるんだけど、この佇まいがまたイイ。
ヘンな言い方だけど、どの人もダンサーっぽくない。そこいらに居そうなフツーな感じ、佇まい。
普段の生活の中での悩みとか喜びとか、そういう思いが全部込みでその人である、そのままの感じが滲み出るような。

舞台の場面でもそうなんだけど、規格の整ったピカピカ優等生ダンサーって感じじゃない。
年齢も体格も人種もさまざまな人が、それぞれの人生をそのまま背負ってる。


3Dで観たけど、その効果のほどはよくわかんない。
別に3Dじゃなくてもキそうな気がする。

いいもの観た。






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