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「崖の上のポニョ」フジモトについて [映画]

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フジモトは、ポニョ以前の海の世界をきちんと守ってきたんでしょう。
それはそれで、彼は責任感ある立派な大人なんでしょうな。
妻を母ちゃん扱いしがちな日本の夫像とは違って、グランマンマーレを母ちゃん扱いしないところはかなり好感。

世代交代に戸惑うのは、仕方のないことで、その戸惑いの描き方も新しいと思う。
フジモトは本当に本気で戸惑う。その戸惑いを怒りや攻撃に向けたりしない。
ひたすら困った困った、って困ってる訳で、実はこれ、すごい。
実はきちんと困ることができる大人は、なかなか居ないぜ。
大人は戸惑ったり迷ったりしないもんだ、ってのがジョーシキですからね。

典型的な悪役とは違う、新しい「戸惑う大人」のキャラクター像。


ポニョは、たぶん「かわいい」という受け容れられやすいキャラクターで塗幕された、イド(生命力)の爆発的パワーだと思う。暴力的で、非倫理的で、とても恐ろしい力。
命は本来、とても恐ろしいものだ。

でもって、「かわいい」の対極に位置する「かわいくない」勢力、即ち永田町と霞ヶ関の「おっさん」イズムへのアンチテーゼじゃないか。
はからずも「かわいくない」「おっさん」どもは、キョーイクキョーイクとうるさいが、そのわりに教育予算を割こうとはしないあたり、子どもの生命力を疎んじてるとしか思えない。

「かわいくない」フジモトが、にっくき悪役としてではなく、なんか右往左往する「戸惑う大人」として表されるのは、こりゃー結構深いんじゃないすかね。

「おっさん」どもは、とうとう敵に値しない、と宣告されたのです。
まあ、文部科学省とかなくなっちゃっても全然困らないだろうしな。



(追記)
関連記事。→初見の感想 →再鑑賞





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コメント 2

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かおりん

いいおはなしでしたね
by かおりん (2009-07-10 17:18) 

シロタ

かおりんさん、コメントありがとうございます。


by シロタ (2009-07-11 08:57) 

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