「バルバラ異界」萩尾望都 [書籍]
読んで、しばらく頭がぐらぐらした。
自分の認識している世界が絶対ではない、ということをがっつり思い知らされて、三半規管が狂ったのかと思うくらい、足下が覚束なかった。
量子論だったっけ?
観察する人の意志が観察結果に影響する、みたいなハナシ。
わたしたちは視たいものを視たいように視て、それを具現化している。
世界の在り方を決めているのは、わたしたちの意志である。みたいな。
物理空間軸とはまったく異なる世界認識の在り方。
世界が在るのではなく、わたしが認識するから世界なのだ。
ありゃ、認識論かよ。
このところ、あれこれ考えるのは「感情には質量がある」ということ。
質量があるからには、色も形も温度も湿度も触感も味も匂いも体積もあって、物理的に数値で計測されはしないだろうけれど、それは確かに、人を動かす。
I was moved. は通常「感動した」と訳す。
つまり、文字通り「動かされる」。
心の奥津城を圧倒して動かす力、即ち、感情の質量。
青葉の夢が未来をかたちづくり、青葉の夢に潜ることができる渡会は未来に干渉する。
渡会は夢の中で「助けてくれ」と訴える。
物理的な力は何も役に立たない空間で、渡会の「感情の質量」が誰かの夢に潜り込み、世界認識を変え、未来を変える。
未来が変わるということは、未来につながる現在が変わる。
現実が変わる。
記憶が入れ替わる。
認識が変われば現実が変わる。
世界は絶対ではなく、相対なのだ、ということ。
なんかいろいろ考え込んじゃった。
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