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「武士の一分」 [映画]

実は、「武士の一分」ていう概念が、ピンとこなくて共感できないのだった。
いや、意味は理解できるけど、そんなもんがそんなに大切か?
まあ、武家社会の価値観なんて、女子どもから一番遠いところだからなあ。
でも、武士って今で言うところの官僚だったり、下級武士なんかは思いっきりサラリーマンだねえ。
そういう意味でも、なんだか目をすがめて意地悪な観方をしたくなるな。アホじゃねえの、お前ら、て。

いやいや、でも、自分の守るべき一分ってものは、人によって、場合によって、違ってくるだろうからな。
共感できなくても、人様が大切にしているもんは大切にしてあげたいものですね。←自戒。

木村拓哉は、最初は違和感があったんだけど、別にどーちゅーこともなくすんなりハマったと思うよ。
それよりも、ですよ。
それより、箱膳。あれ、いいねえ。

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これが箱膳だ!

最初のシーンで木村拓哉が箱膳つかってご飯食べてる。
普段は箱の中に食器を収納し、食事の際は食卓としてつかう。
ひとりぶんの用途に限っているので、なんとなくお弁当箱チックな愛らしさもある。
食卓と食器収納の機能を完璧に果たしつつ、余分な飾りや機能はまったくない、ミニマルデザインの傑作。

また、箱膳をつかう所作がいい。
「湯をくれ」って飯椀に湯をもらい、飯粒のこびりつきをゆるませる。
そのお湯も無駄にせず腹に収めてから、布巾で箸や食器を拭き、箱に納める。
特に大仰な感じがしなくってなにげないんだけど、普段からきちんと食事をつかってますよ、って感じがいい。

箱膳だけじゃなく、家屋全体がミニマルで、手入れしやすそう。
家事や生活の所作と、扱われる道具や家屋がぴったりマッチしていて、無駄がない。

例えばお掃除ひとつとっても、電機掃除機なんてブサイクなしろものを使わないで、サカサカっとほうきがけ、ゴミを屋外に掃き出してしまう。
台所の土間とかも、いいじゃん。台所仕事は火や水を使うから汚れやすい。土間なら、ちょっとくらい水をこぼしたり汁が垂れたところで、神経質になることないもんね。
家屋が密閉されていなくて、屋内と屋外の間の部分がある。土間とか、広い軒下、縁側とかね。その場所が、実に有効に使われていていることよなあ、と、話の筋立てより、淡々とこなす生活の仕草がいちいち楽しくて見入ってしまいました。
ま、ちょっと博物館ジオラマ的説明臭さも否めないけど、いろいろ出てきておもしろかったよ。

なんというか。便利でラクチンを目指すが故に、ブサイクになったものが多過ぎる、と思うのですよ。
実は最近、下水工事の関係で、家の下水管の取り付け位置とか調べてもらったんだけど、呆れた。
たかが、いち家族が暮らすためだけに、こんなに管を取り付け、穴掘って埋めてんのかよ、って。
家の中で水をつかう、ってことだけでこんな大規模な装置をつくっちゃうのは、ブサイクでダサいよなあ、と。
箱膳的ミニマルとは真逆をいく、機能過剰。
その機能過剰の恩恵を受け、便利でラクチンを捨てられない怠惰な自分を認めざるを得ないんだけどさ。

別に、昔はよかった、なんていう一面的なつもりはないんだけど。
でっかい食器棚とか、その中に収まってるなんかのおまけ皿とか、間に合わせに買った早く割れてほしい食器とかに囲まれ、食事のたびに洗いかごいっぱいの食器洗いをする生活を思うと、箱膳的ミニマルな美しさに強烈な憧れを抱いてしまいます。

ってこれ、映画の感想になってないし(笑)






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コメント 4

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room7

箱膳のために「武士の一分」を見てみようか...という気になってます。
by room7 (2008-08-27 23:17) 

シロタ

“箱膳”で検索してみたら、今でも売ってるんですね。
欲しくなっちゃいました(笑)

食育の教育現場に取り入れられたりもしているらしいです。

by シロタ (2008-08-28 09:59) 

shim47

箱膳は実家にあります。100年くらい前のものだそうで、たまに持ち出してきて使う事があります。常用する食器の収納場所兼食卓として考えてみるとなるほど確かにミニマルな良さはありますね。
by shim47 (2009-01-07 03:11) 

シロタ

shim47さん、コメント&nice!ありがとうございます。
箱膳おつかいなんですね。いいなあ。
100年前のものでも普通に使えるってところにミニマルな良さが発揮されますね。
by シロタ (2009-01-07 18:18) 

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