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「ザ・セル」 [映画]



カリっと乾いてて、サクサク歯触りのいいクリアな映像で、こういうのすごく好き。
いちいちバチーンと構図が決まってる。キメ過ぎな感もあるけど、こういうのは過ぎるくらいのがいいかもしれない。

潔いくらいの上っ面感。
建物なんか内部構造があるとは思えないくらいペラペラだし、人物もお人形扱いで演技とかどうでもいい感じ。その分、フォルムとか動きとかはシビアに扱ってるんだと思う。スローモーションとか、飛行機のエンジンの熱風で空気が歪むところとか、全然意味ないのにカッコいい。
ついつい「ひょえー」とか「わーお」とか口に出てしまい、我ながらうるさかった。黙れ自分。

病気とか過去のトラウマとかも、完全に悪夢イメージづくりのネタ扱いで薄っぺらいことこの上ない。
個人的には、中途半端に同情とか心配とか感情移入されるよりもドライな姿勢で好きだけれど、不謹慎で腹が立つって人の気持ちもわかる。微妙なところ。

石岡瑛子の衣装がまた、薄っぺらくてドライな映像にぴったり合っててイイ。
悪夢世界の王が翼のように布地を引きながら降りてくるのとか、なんかもう、ホントに意味がなくってイイ。
いや、意味があるっちゃあるんだけれど、ものすごく象徴的。
身体性の強い、服飾っていう非論理的な表現効果が最大限に活かされてるんだと思う。

悪夢世界は結構つくりこんでておもしろかったんだけれど、精神世界ならではのやりとり、対話とか攻防とかはもう少しどうにかなんなかったかなあ、と思う。お話的にはそこがキモなんだし。
象徴的なコスチューム頼みな感があって、なんか惜しい。
萩尾望都の「バルバラ異界」(小学館)とか、惣領冬実の「ES」(講談社)みたいな、スリリングな描写を期待しちゃったもので。
あ、キャサリンの世界はチープでつまんない。

それにしても、こういう精神世界の表現って、所謂少女漫画の作家が無類の強さを誇ると思うんだけどどーだろう。
明智抄の「サンプル・キティ」(白泉社)とか、清水玲子の「秘密(トップ・シークレット)」(白泉社)とか。








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