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「VOICE FROM ASIA」VOICE FROM ASIA [音楽]

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わたしの大好きな歌い手、おおたか静流がヴォーカルをつとめるグループ、VOICE FROM ASIAなのだけど、どうもこれamazonでは扱ってないみたい。アートイベントを企画運営したりする青山スパイラルから出てる、ナゾのアルバム。1990年制作。どこで入手したんだっけか。

アルバムタイトルでもありグループ名でもある VOICE FROM ASIA の名前の通り、アジアな気配というかフレーバーというか雰囲気なんだけど、別にこれみよがしにアジアの楽器を使いまくって民謡やお祭り音楽をやる訳ではない。
全体にヴァイオリンが印象的なんだけど、クラシックとかオーケストラのイメージじゃなくって、ロマ音楽のフィドルみたいな、ヨーロッパの辻楽みたいなヴァイオリン。そこはかとない鄙びた土臭さと躍動感を感じさせて、そこにパーカッションとギター、ベース、他、彩りの楽器(静流ちゃんの大好きなおもちゃくさい笛とか打楽器なんじゃないかなあ)が加わわる。
ルーツがはっきりわかる音楽じゃなくって、ハイブリッドな無国籍感。

楽器も音数もそんなに複雑じゃないと思うんだけど、ごった煮的な、いろいろ煮込まれてなんのダシなんだかよくわかんないけどウマいっすね、みたいなイイ味が出てて、おもしろ濃ゆい。

ヴォーカルは歌い手というよりは声っていう楽器な感じ。静流ちゃんお得意のスキャットていうかアドリブていうか、いーーー、とか、ええええーーー、とか(笑)、さまざまな音色の声が駆使される。
フランス語北京語日本語英語がごた混ぜな歌詞も凝ってて、言語の意味性よりも多様な言語を音として楽しむ感じ。

最近になってまた引っ張り出して聴いてみてんだけど、改めて、なんかコレすごくいいものなんじゃないかなーって、ひとりで有り難がってる(笑)。


1. ÇA VA TOKIO/サバ トキオ
粋。低めに押さえたシックな声、渋くてカッコいいのと同時に、土俗的な力強さを感じさせたりもしていろんな表情がある歌唱。マンドリンの軽快な音が重過ぎ渋過ぎを防いでる。ヴァイオリンというよりフィドルと呼びたい感じの、フォークロアな質感のヴァイオリンの泣きが鮮やかで、人の声よりも艶っぽい。ヴァイオリンてなんて叙情的な楽器なのだ、と思った。
フランス語まじりの歌詞が大人っぽく艶やか。

 Tokio 味感れ永遠香, dansez
 Ma Tokio, fais de beaux rêves
 Petit fleur. Nor eh. Ça va?
 (味感れ永遠香には、mesare e no kokochi、とルビがふってある)

2. WOLF/狼少女
エレクトリックギターのギュイーンてやつと、エフェクトのかかった静流ちゃんの“遠吠え”が狂騒の態。歌詞はなくって、全編スキャット。言語から隔った“声”そのもので、動物的な声と、歌として成立する歌唱の間を探る感じ。

3. TALKIN'/トーキン
北京語のカチカチコトコト固い感じが楽しく、言葉遊びみたいに繰り返される。リズムが心地いい。ちっちゃい子どもに歌ってみてほしい感じのかわいさ。

4. MOON/ムーン
一定のリズムで全体を支配するコロコロな音(木琴とか竹琴みたいな)、鈴の束と大太鼓みたいな音がアクセントに引き締め、シンプルな旋律が繰り返される。わりにストイックな楽曲なんだろうと思うけど、妙に魔術的な雰囲気。

5. FLY AWAY/飛べ西へ
タイトルとか歌詞のイメージのせいでもあるんだけど、力強い疾走感とか躍動感がまさに飛翔する楽曲。旋律の躍動が体感的に快い。大きな鳥が力強く飛ぶイメージ。羽ばたくんじゃなくって安定して滑空する。

6. SWEET ONG CHOH/スウィートンチョー
日本語英語北京語ごた混ぜ。ひとことひとこと区切るような旋律で、言葉の響きがやたらに愛らしい。“逢いたかったよ”が“アイタカタヨ”みたいに訛って歌われてたりして、それがまた可愛い。コロコロ竹琴(推定)のリズムとシンプルな旋律の繰り返しがクセになって、脳内リピート率高し。

7. DRIFTING/漂
ぐるぐるふわふわ空中を漂い彷徨うようなイメージ。のどかにゆったり軽快なんだけど、どことなく不穏な感じもする旋律。

8. ECHOES/恋連歌
躍動感のあるリズムをベースに、女声と男声の掛け合い追いかけっこ。全編スキャットで静流ちゃんの得意なええええー、とか、うにゃーーーー、とか、えいやらほういほい、とか好き放題(笑)。

9. DOO-LOO-WA/ド・ウ・ル・ワ
凛々しく清しいイメージ。明るく鄙びたフィドル、賑やかなパーカッション、野放しな静流ヴォーカルがそれぞれ好き勝手に遊んでいるようでいて、ちゃんと噛んでる。キレよく音が重なり、揃ったときの音の厚みが豊穣。




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コメント 6

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VOICE FROM ASIA 購入者

最近、VOICE FROM ASIAを中古購入しました。
Windows Media Playerにインポートしたらタイトルが変になっててびっくりしました。
やってみると面白いかもしれませんよ。
by VOICE FROM ASIA 購入者 (2010-02-06 15:45) 

シロタ


や、やってみました(笑)。なんですかこれわー(笑笑)

「中国人と恋人とチョコレート」は「SWEET ONG CHOH」のことじゃないですかね?
「飛んでったひこーき」は「FLY AWAY」っぽい。
けど、「鼻毛」って何ですかね(笑笑笑)

おもしろ情報ありがとうございます!
よかったら、VOICE FROM ASIAの感想も聞かせてくださいね。



by シロタ (2010-02-08 11:46) 

VOICE FROM ASIA 購入者

確かになんとなく関連性がありますよね……鼻毛は別として(笑)
「FLY AWAY」が好きで今はそればっか聞いてます。何か自由な感じで。
でも「FLY AWAY」は「密リンゴ娘」になってるんですよね~(笑)イミワカラン

あとは「SWEET ONG CHOH」がまったりしてていいなぁ

他の曲もこれから時間をかけてじっくり聞いていこうと思ってます。

by VOICE FROM ASIA 購入者 (2010-02-09 01:36) 

シロタ


たびたびのコメントありがとうございます!

「FLY AWAY」いいですよね。気持ちいいです。
飛行機に乗って窓際の席で聴きたい。

それにしても、楽曲以外にもこんな裏ネタが仕込まれているとは、嬉しい驚きです。
ますます持っててよかったー♪って気になりました。

ありがとうございます!

by シロタ (2010-02-09 09:54) 

はすみとしひと

はじめまして。ググって来ました。
私もどこで、そしてなぜ購入したか、今となっては思い出せないんですが、すっごく好きなアルバムで、自分のライブのお囃子に使ってたほどですw
最近、インポートして、タイトルがあまりにもあんまりなんで、悲しくなってたところだったんですが。。。これ、意図的なんですかねぇ?

他の記事読みにまた来ます。
by はすみとしひと (2011-01-13 00:53) 

シロタ


はすみさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
VOICE FROM ASIA、お好きとのことで嬉しいです。

>インポートして、タイトルがあまりにもあんまり

はははー。
こういう茶目っ気はおおたか静流さんが好みそうだなー、と、笑ってしまったんですけど、確かに、あんまりちゃあんまりですね。


by シロタ (2011-01-13 15:03) 

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