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「パイレーツ・ロック」 [映画]



yahoo映画のyadonisiさんのレビューを読んで興味をもって観に行ってみた。

いやコレ、楽しい。可笑しい。

お話的には他愛なくって隙だらけなんだけど、何しろ、“規制を逃れて法律適用外の海の上から24時間ロックを放送する船上ラジオ局” ていうモチーフがやたらに魅力的。楽しそうだなー。
’60年代のイギリスでは、ラジオ放送でロックとかポップスが厳しく規制されてて、実際にこういう海賊局が隆盛を極めてたそうな。

この船上ラジオ局、自由と音楽にあふれ、ユートピアみたいに理想化されて描かれてて、異様に安心して観ていられる。
トラブルとか諍いが起こったりもするけど、お約束通りのお話の起伏ってやつで、どうせハッピーに収まるでしょ、って水戸黄門ばりにわかりきってる安心・安定感(笑)。
閉塞した船上空間で人間性の暗部がえぐり出されるエグいドラマが繰り広げられたりってことは全然なく、'60年代のセックス&ドラッグな爛れて嬾惰な描写なんかあるわけなく、せいぜいがキス&喫煙止まり(しかも’60年代描写にしては少ない方だろうな)なヘルシーさ。
後半から終盤にかけての危機的状況にもドキともハラともせず、心安らかに観ていられる始末。いいのか(笑)。

まあそのおかげでじっくりとっぷり音楽に耽溺できるつーか。
そもそも21世紀の我々が’60年代のロックを政治的に(反抗とか反逆の文脈で)聴くのは無理があるし、シリアスなドラマとして観るよりは、ある種ノーテンキに理想化された画において、純粋に音として楽しんじゃっていいんじゃないの。ていう感じ。
まあ理想化つってもせいぜいが白人男子の理想なんかなーってとこはあるにしても。グルーピーの女の子たちにキャーキャー囲まれてご満悦、って、正直過ぎてつい失笑。あほス。女の子たちもかわいい動物の群れ的団体な扱いなんだよねー。せっかくなら女性の活躍っぷりも理想化しちゃってくれればいいのになーと思いつつ、結局ロックって野郎音楽なのよな。

ロックを抑圧する政治家の描写もこれまた極端にカリカチュアライズされてて、画ヅラも寒々しいグレーのつまんなさ強調、色とりどりのヒッピー&サイケファッション満載な船上ラジオ側と好対照。
クリスマスに気まずくクラッカーを鳴らして “実に盛り上がったな” ていう堅物大臣がキュート。うははは。ホンモノの上流階級はこんなに他愛なくないぜー、怖いんだぜー。

ヒッピー&サイケは好きじゃないんだけど、船主?船長?のクエンティンの英国紳士なトラディショナルをざっくり崩した着こなしが最高にクールでかっちょよかった。上背があるから長めの巻き物が小粋にキまってていちいち痺れる。


'60年代UKロックの理想郷で音楽を楽しむ、これに尽きます。
個人的にいろいろと辛気くさいこと考えがちなこの時分にはノーテンキさ加減もぴったり、すっかり大喜びで観ちゃったのでした。
劇場は「This is it」マイケル・ジャクソン一色だったけどな(笑)!


楽曲はこんな感じね。たぶんお好きな方はあれこれレビュー書き連ねるより、曲目リストいっぱつでハイハイそーいう感じね、てわかると思う。
All Day And All Of The Night(The Kinks)/Hi Ho Silver Lining(Jeff Beck)/Yesterday Man(Chris Andrews)/Friday On My Mind(The Easybeats)/Here Comes The Night(Them Featuring Van Morrison)/Hang On Sloppy(The McCoys)/I'm Alive(The Hollies)/Silence Is Golden(The Tremeloes)/Tell It Like It Is(Aaron Neville)/Judy In Disguise With Glasses(John Fred And His Playboy Band)/All Over The World(Francoise Hardy)/To sir With Love(Lulu)/Sunshine Superman(Donovan)/98.6(The Bystanders)/The Happening(the Supermes)/Jumpin' Jack Flash(The Rolling Stones)/Fire(The Crazy World Of Arthur Brown)/For Your Love(The Yardbirds)/The Letter(The Boxtops)/A World Of Our Own(The Seekers)/Georgy Girl(The Seekers)/These Arms OF Mine(Otis Redding)/Cleo's Mood(Junior Walker & The All Stars)/Ooo Baby Baby(Smokey Robinson & The Miracles)/The Old Heart Of Mine(The Isley Brothers)/So Long Marianne(Leonard Cohen)/She'd Rather Be With Me(The Turtles)/I Feel Free(Cream)/Groovin(The Young Rascals)/Lazy Sunday(The Small Faces)/I've Been A Bad Bad Boy(Paul Jones)/Elenore(The Turtles)/With A Girl Like you(The Troggs)/Stay With Me Baby(Lorraine Ellison)/Per Qualche Dollaro In Più(Ennio Morricone)/Crimson and Clover(Tommy James And The Shondells)/Sunny Afternoon(The Kinks)/My Generation(The Who)/Little Saint Nick(The Beach Boys)/Christmas(Darlene Love)/Girl Don't Come(Sandie Shaw)/You Don't Have To Say You Love Me(Dusty Springfield)/The Wind Cries Mary(Jimi Hendrix)/The End OF The World(Skeeter Davis)/Let's Spend The Night Together(The Rolling Stones)/This Guy's In Love with You(Herb Alpert And The Tijuana Brass)/Dancing In The Street(Martha Reeves & The Vandellas)/I Can See For Miles(The Who)/A whiter Shade of Pale(Procol Harum)/Won't Get Fooled Again(The Who)/Farther and Son(Cat Stevens)/Nights In White Satin(The Moody Blues)Wouldn't It Be Nice(The Beach Boys)/Let's Dance(David Bowie)





 


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コメント 2

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yadonisi

こんばんわ・・・お早うございますですな(笑)

これ、シロタさん的には気に入らないかもしれんなーと思ったのですが、
楽しめたみたいで良かったです。
そうっす、小文字で書いてある所、メッタ斬りするんじゃなかろうかと(笑)
女子連中の描写がね・・・どうもバカっぽいのばかりで・・・まぁ、野郎どもも輪を掛けてバカでしたけどね(笑)

因みに僕も、ヒッピー、ハッピー、ラブ&ピースみたいの大キライ!(ピースは無かったけど)
基本、“自由は責任を伴うもの”と思ってますんで、あの船内の様子は本当の自由なんかじゃないと思ってます。
だから僕はあの船で暮すのは・・・多分無理っぽい(苦笑)
で、この辺のところをある種のイデオロギーっぽく押し付けてこなかったので、
「まぁ、良いっか・・・」と左から右へ受け流した次第です。。。

レビューでは触れなかったけど、政府側にケネス・ブラナーを配置したのが良かったです。ヤツは徹底的にワル者扱いで、普通“ムカツク”で終る役どころだったのに、妙に愛しい♪
演技も上手い。あの台詞回しは只者じゃないっす♪

これ、DVDで観たら多分、酷評してたかも・・・あるいはレビューをスルー。
そう、出来は決して良くは無いです。
この作品は劇場で、良質の音に包まれる臨場感があった方が絶対良いと思いました。
特に“A​ Wh​ite​r S​had​e O​f P​ale​”のシーン。「長い曲をかけよう」の台詞の時のやつです(一応ネタバレ回避の為、詳しくは書けませんが)

僕が一番ツボったのはアメリカ帰りのあのDJギャヴィン様。
あいつ、初登場のシーンから妙チキリンで、もったいぶったスローモーションとかマイクを舐めたりとか、個性的なファッションとか、いちいち面白かった(笑)

長くなりました。この辺で失礼します。
by yadonisi (2009-10-30 04:56) 

シロタ


yadonisiさん、コメントありがとうです。
おかげさまですっかり楽しみましたですよ。

カール小僧がたいした理由もなく船に来て、意地悪のいっぱつも食らわずに異様にすんなり受け容れられた時点で、あ、これは極甘のユルユルですなーって、鑑賞モードを“水戸黄門”に切り替えちゃいました(笑)。つか、そこはかとなくディズニーっぽい、とも思った。

ケネス・ブラナーもイイし、その部下のトゥワットもいい具合におちょくりがいがありそうでステキでしたよねー。
今の時代、抑圧する側とか悪役ってあんなにわかりやすくないもんだから、あからさまに敵でいてくれる人物ってのはすがすがしいです。

クエンティンは別格(!)ですけど、DJマークもアリかな。あーいう要領よくおいしいとこ持ってっちゃうヤツってなんか気になる。
ギャヴィン…(笑)、アレは出てくるだけで笑えますな。

おっしゃるとおり、この映画は劇場でオーディエンスとして観るのがいっち楽しめるんでしょうね。アトラクションみたいな体感型。
生憎と劇場スカスカで今イチ盛り上がりに欠けましたけども。

’60年代音楽については全然まるで詳しくないですけど、結構聴いたことある曲があったみたいかな。サントラも気になりス。
by シロタ (2009-10-30 13:39) 

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