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「マルタのやさしい刺繍」「カレンダー・ガールズ」 [映画]

「マルタのやさしい刺繍」
浦和パルコ2周年だかユナイテッドシネマ10周年だかで特別上映500円。普段もこれくらいで旧作をばんばん上映してくれればいいのになー。平日昼間のシネコン名画座ってどーだろう。イケると思うんだが。

夫に先立たれてヘコんでた80過ぎの女性が、若い時分の夢を追ってランジェリーショップをオープンさせ、生きる喜びを取り戻すていうベタなお話。
女性たちがすこぶるチャーミングでニコニコしながら観てたんだけど、保守的で了簡の狭い田舎者(田舎の人と田舎者は違う。て言ったの誰だったっけ? この場合、断じて田舎の人ではなくって田舎者。都会に住んでたとしても田舎者)の糞オヤジどもの抑圧っぷりがエグくって、今どきこんな奴ら居ないだろうよ居たとしてもまともに相手されてねえよと思いたいがひょっとしてまだ居るか健在なのかむきー腹立つなー、と新鮮に腹が立った。
なんつーかな。お前らは年寄りらしくおとなしく目立たなくしとけ、もう性的対象ではないんだから下着とか凝っても仕方ねーし、働け尽くせ、そんで父とか夫とか息子とか家族とか共同体に尽くすのが当たり前つーかそれがお前らの幸せであると感じろ信じろ、ていう身勝手極まりない抑圧が気色悪くごーっと迫ってきて、まあお約束通りラストにはこてんぱんに伸される訳だが、それでもひじょーに嫌だった。
女性たちが明るく強く前向きなのが救い。

あと、下着制作の工程とか刺繍を施す手仕事とか、できあがった下着のデザインやディスプレイをもっとよく見たかったかな。ビューティフルな仕事の様子ってのがキモだと思うの。



「カレンダー・ガールズ」
「マルタの…」観てこれを思い出した。こっちのが爽快かも。

こっちは、癌で夫を亡くした中年女性が癌撲滅のためにチャリティのヌードカレンダーをつくる話。
婦人会の権威ていうか立場的にヤバいんで止めようよ他の方法でいいじゃん、と、止めとけな人らが居たり、中年の女性がヌードになってどうだっつーのよ的にうっすら馬鹿にされたりはあるんだけど、「マルタの…」に比べりゃ圧倒的にジェントル。

ていうか実話がもとになってるんで、反対した人たちのこともそうそう悪くは描けないだろうけど。ホントはもっとエグい反対があったと思うな。
カレンダーガールズも成功ばっかりではなく、のぼせて調子乗り過ぎなとこもあったり、フェアに描こうとする姿勢が感じられる。
それって風景の画なんかにも感じられて、風光明媚な里山が美しく気持ちよく映し出されているんだけれども、単純に田舎礼讃ていうんでもなく、ほどほどな感じがうまくバランスとってる。

ヘレン・ミレンが婦人会の総会で「わたしはプラムジャムが大嫌い! だけど糞ったれな癌をやっつけるためなら裸にプラムジャムを塗りたくって歩くことも厭わないわ!」みたいにぶち上げたとこなんかは思わず握りこぶし。おっしゃー。

DVDの特典映像の、実際の女性たちの話もおもしろかった。映画ではヘレン・ミレンにあたる、カレンダー制作の中心的な人物の面差しが、活力に満ちてて魅力的だった。

思うにこのチャリティ、洒落がキいてるっていうか、頭のよさや茶目っ気を感じて小気味よいのな。
そもそもカレンダーガールって、性的対象としての称賛(ピンナップガールみたいな)が含まれる語なんだろうと思うんだけども、それを世間的には一部の好事家を除いては性的対象外とされる、中年の女性がつとめるっていう。
でもってチャリティなんで、おもしろくねえと思ってもあからさまに否定はできない。巧い。

「55歳よ。今脱がないでいつ脱ぐのよ」とか、台詞の端々にもそういう茶目っ気が感じられて爽快。
活躍する女性の夫たちが所在なさげにパブに集まるとこは情けな可笑しい。






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コメント 4

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エンジェル

イイよねー、この2作。ワタシも好き。^^
「こーゆーカンジにトシとりたい」と思わされる。
…それがなぜ、邦画ではあまり見かけないのか…。
世界に誇る長寿国だってのに…。

ところでランジェリーの楽しさって、女性特有の感覚なのかねぇ?
オトコもこだわりを持ってインナー選んでる人がいるけど、
オンナの楽しみ方とはちょっと違う気がするなぁ。
10cmヒールのパンプス履いちゃう人にだけ、わかる感覚とか?^^;
by エンジェル (2009-11-06 14:01) 

mymble

カレンダーガール、シロタさんのレビュ読んで、観た気がするなー。
>今脱がないでいつ脱ぐのよ
この台詞は膝を打っちゃいました。
元気になりますよねー。

マルタの、、、のほうもおばあちゃんが可愛くて。
そう、でもあの男たちの保守っぷりはすごかったですね。あれ、逆にピンとこなかったですよ、現代でこれってアリ?みたいな。
そうそう、もっともっとランジェリーの作品を丁寧に観たかった。そこが惜しいと思ったことでした。

ランジェリーや下着。結局機能優先したりするけど(笑)でも楽しいっすよね。
服は安くてもいいけど下着の安っぽいのは、ちょっと嫌だったり(笑

↑邦画で言うと『魂萌え!』とかどうなんでしょう。一応借りるリストには入れてるんだけど。
by mymble (2009-11-06 20:40) 

つち

はじめまして!!
私も「マルタ~」大好きです。
ただ、たしかに刺繍の完成品とか工程とか、もっと見れてもいいかな~~~って
シロタさんに言われて思いました。
「カレンダー~」のほうは、うちの田舎には来ず・・・でした。残念。

カメブログ村からやって来たんですけど、映画の事がいっぱいでびっくり!です。
最近いろいろ映画を観るようになってきたので(遅)、勉強させてもらいますね。
カメグッズも感動的な多さですね・・・すごすぎます;^^
カメさんの福ちゃんと吉ちゃん(きちちゃん?きっちゃん?)もいて、
これから遊びに来るのが楽しみです。
どうぞ宜しくお願いします。
by つち (2009-11-06 21:36) 

シロタ


>エンジェルさん

毎度いらっしゃいまし〜。
そっすねー、どうも年齢重ねた女性って、がばいばあちゃんとか東京タワーのオカンとか、夜なべして手袋編みそうなイメージばっかしな気がしますねえ。

下着のお楽しみね。男性は、身なりをかまうことに照れがあったり、場合によっては、軽薄でみっともない、みたいな感覚があったりするんじゃないですかね。ちゃらちゃらしやがって、みたいな。
ましてや、自分の楽しみのために着るものや、自分の身体を愛でる感覚はなかなか遠そう。


>mymbleさん

コメントありがとうございやす。
「カレンダー…」全体に気の利いた台詞が散りばめられてて、いちいち小気味いいんですよね。

「マルタ…」の保守オヤジ、やっぱり過ぎますよね。いつの時代だよ、と思った。
下着って立体裁断・縫製の極み、洋裁の粋だと思ってるんで、制作工程とかパターン取りとかめっさ興味あったんですけど、わりとさらっと流されてて残念でした。

しかし最近の下着はパッドとかワイヤーとか補整機能が過剰な気がするんですよね。身につけてラクなものを選ぶと妙に婆くさかったりするし、ノンワイヤーのシックな下着欲しいなあ。


>つちさん

こんにちは、はじめまして。コメントありがとうございます!
「マルタ…」お好きなら、「カレンダー…」もきっと楽しめますよ。

つちさんのブログのそらのびっちさんと琴さん、めっさ可愛いですね!
踊る琴さんがツボに入って大喜びしました。
そうそう、うちの福吉にもそろそろヒーターをいれてやらねば!

また遊びにきてくださいね。

by シロタ (2009-11-07 09:30) 

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