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大琳派展 [展覧会、イベントなど]

大琳派展公式webサイト

いやーよかった。いいもん観た。素晴らしい。

企画趣旨として「継承と変奏」と副題され、本阿弥光悦〜俵屋宗達〜尾形光琳〜酒井抱一〜鈴木其一の継承の流れを追う展示になっている。
にも関わらず、「混雑しておりますので第二展示室からお先にご覧下さーい!」と、展示順もへったくれもない案内がなされてしまうという、要するにゲロ混み。 平日の午前中に行ったってのにふざけてんのかというほどの混雑に遭い、人のアタマを観にきた訳じゃねえんだコラ、とさんざんに(心の中で)悪態を吐きまくったけれど、作品は本当に素晴らしかった。


特に酒井抱一はいい。ツボった。
20060808natsuakikusa.jpg
夏秋草図屏風

しばし佇み、恍惚と見入ってしまったことだよ。
大胆な構図、繊細な描写、精確な技巧。
キンッキンな冴えっぷりなのだけれど、嫌みな作家根性みたいなものはいっさい感じられなかった。どうだー!ていうこれ見よがしなところがまったくない。

なんというか、かわいらしい。
草木が風に揺れ、雨に打たれ、たなびいて倒れ。
屏風の意匠に取り込まれてデフォルメされているにも関わらず、生き生きと息づいている。
なんてかわいらしい。
なんていとしい。
しみじみと胸にしみいってくるように、いとおしい気持ちに満たされる。

四季花鳥図巻がまた、かわいい。
やはりこれも綿密に意匠が凝らされていながらも、不自然さがまったくない。
鳥も花も草木も、今にも動き出しそうにのびのびと鮮やかに居る。存在することを楽しんでいる。
構図や色彩構成のつじつまを合わせるために強引に変形させられた生きものはいない。
たとえ、絵の中から解き放たれたとしても、この絵巻から去るものは居ないだろう。
そう思わせられるほどに、すべての生きものがいとしく、かわいらしい。

目玉作品の「風神雷神図」の迫力もよかったけれど、酒井抱一の“侘び”の世界が、生きとし生けるものへの愛、それらを描くことの愛に満ちあふれているということに、いたく心打たれたのでした。
そっか、“侘び”ってのは愛なのだな。


叶うならば、一日中でも抱一の生きものたちと戯れていたかったけれど、ありえねーくらいの人混みゲロ混みクソ混みはサクサクとわたしの酸素を奪い、頭痛と胸焼けの人酔いをもたらし、不粋極まりない混雑空間に無惨にも敗北して悄々と帰ってきたのでした。 このコたちを独り占めしたいとは言わないが、もう少し余裕のある空間、もうちっと人間としてマトモな状態を保てる環境で鑑賞することはできないもんだろうか。しょぼん。


そうそう、近年になく展覧会図録の出来が良いです。たいていの展覧会図録ちゅーのは土産やら記念やらにと、一定の購入層が見込めるのでつくっときゃ売れるみたいな、テキトーなデザインと印刷の、誤植だらけじゃねーかよ色校正したのかよな水準の、そのわりに紙はやたらに立派な分厚いものをつかって嵩を増し、結構なお値段ふんだくるザツなシロモノが多いんだが(シロタの偏見かもしれんが)、結構良いです。頑張ってます。
遠方にて展覧会に足を運べない方は勿論、琳派についてさっくり知りたいなーてな興味をお持ちの方に、通販でも購入可能らしいんでお薦めしときます。
なまじな美術書を購入するよりコンパクトにまとまっているし、カラー点数も多いし、さすがに“大”展覧会を名乗っているだけあってツブ揃いの作品群が収録されています。コスパ的にも良品といってよいでしょう。


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コメント 2

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room7

このあたり良いですね
by room7 (2008-11-09 21:27) 

シロタ

room7さん、nice!とコメントありがとうございます。
他にもいろいろと出物がありましたよ。

shim47さん、たびたびお運びいただきありがとうございます。nice!感謝。
by シロタ (2008-11-12 08:17) 

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