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「青の稲妻」 [映画]

main.jpg→青の稲妻公式webサイト
「青の稲妻」っていう邦題はなんなんだか。刹那的な閃き、みたいなものを仄めかしたかったのかもしんないけど、どうなんだろ。今いちハマってないかも。
原題は「 任逍遥」、劇中で謳われる歌のタイトル。英題は「UNKNOWN PLEASURES」。

シケた田舎のシケた若者がそのシケシケ具合に忸怩としながら、ままならない恋に悩んでみたりするっていう、お話自体はよくある話。
そんな鬱陶しい話の筋立てだっていうのに、からっと乾いていて静かな佇まいで、沁みるように鮮やかに、しんしんと響いてくる。
ところどころに、WTO加盟や法輪功や北京五輪など、激変する中国社会の出来事が差し挟まれ、彼らの立ち位置、シケシケ具合の内実が掘り下げられて見える感じ。

「四川のうた」で魅せられた、シアーな質感と透明感のある画。
舞台となる大同(ダァトン)の町を丁寧に繊細に描き出していて見飽きない。胸がすくような晴れやかさと、触覚感を伴うかすかな抵抗感。快い画。

一瞬で目を奪うっていうんじゃなく、あとからじわじわクる。長くキく。
アジアの泥臭い感じもあるんだけど、メキシコとかアメリカ西部みたいな大陸感も感じた。
ていうか、バイクで疾走する場面に「イージー・ライダー」を思い出したからなんだけど。

球撞き屋から出て、コンピュータくじの宣伝文句を聞きながら煙草をふかすシャオジイの画ヅラがよくって印象に残る。ざらついた白い壁が眩く画面を占めて、寄る辺ない青年の自嘲気味の佇まいが妙にハマる。
この青年がよい。青臭くっていきがってて、でも自棄にはなりきれないふっきれなさ。役柄的にもイイんだけど、演じているウー・チョンがイイ。

チャオチャオの垢抜けなさ。派手な装いを凝らしてヤクザな男にくっついてるんだけど全っ然似合わない。エキセントリックに浮いちゃってて痛々しい。
シャオジイに荘子の「胡蝶の夢」の話を語って聞かせるとこは可愛らしくって、ほんのりせつない。

ビンビンが恋人と歌う歌「 任逍遥」が沁みる。
この歌は終盤とラストにも出てくるんだけど、その場面場面で意味合いが全然違って聞こえてくる。


拙い銀行強盗の盛り上がらなさと失敗のショボさには、つい笑った。しみったれた滑稽さ。
花火ぶちあげてドカンと破滅して終わり、なんて単純なことしないあたり、いいセンスだと思う。イイ具合にひねくれてる。






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