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「This is BOSSANOVA」 [映画]

もったいない。

素晴らしいミュージシャンたちが惜しげもなく語り、歌い、ギターを奏でてくれる。
ボサノヴァと音楽に対する愛があふれている。

ボサノヴァのルーツと歴史をふりかえるというテーマ、その意気やよし。
しかし、その素晴らしいボサノヴァ・ワールドにどっぷり浸ることができなかった。
音楽も、音楽にまつわるエピソードも蘊蓄も大好きなのに、ひどくイライラさせられる。
期待が大きかっただけに、ショックが大きいです。

だってさー。映像が細切れのブツブツでころころ画面が変わり、演奏がぶっつり途切れてインタビュー場面になったりするんですよ。
演奏のシーンも歌手のどアップがずーーーーっと続いたりして、TVじゃないんだからスクリーンで大顔面長時間はキツいっつーの。
音楽に重ねてイパネマやコパカバーナの美しい風景を堪能させてくれてもいいじゃないすか。

たぶん、取材が不足していると思います。
きちんとテーマに沿ってインタビューしないでだらだら語らせるから、編集で強引に繋ぐことになる。
名演奏の映像も録音も、探せばもっとあるはずじゃないかなー。
ドキュメンタリーは取材が命ですよ。

と、ぶつくさ言ってみたものの、ナラ・レオンを中心にしたミュージシャンたちの集うサロンの話や、ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンのエピソードはとても興味深かった。若いミュージシャンたちの贅沢で豊かな時間を思うとわくわくする。
ボサノヴァ特有のギター奏法についての蘊蓄もおもしろい。コードをいくつか奏でるだけで「おおっ、ボサだ!」と前のめり、リズムのとり方にはついつい合わせて膝を打ってしまう。
歌唱法の由来もおもしろいです。あのたるーっとした気怠い歌唱は、単に近所迷惑にならないように小声で歌ったから、というのは如何にも力の抜けた理由で嬉しい(ちょっと疑わしいけど)。

テーマが興味深いだけに、とにかくもったいないっすわ。




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