「三文ゴシップ」椎名林檎 [音楽]
美麗ジャケット。写真もさることながら、印刷が美事。
印刷ってのは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)4色の網点の重なりで表されるわけなんだけども、ピンクとかオレンジの発色はMとYの掛け合わせではなかなか再現が難しく、くすんだり濁ったりしがち。人の肌の微妙な色合いや質感を滑らかに出すのは、色校正に熟練を要する仕事なのです。しかも椎名林檎となれば大量ロットであろう、ムラなくクオリティを保たなくてはならんから大変。
このジャケットの場合はYMCKに加えてもう一色、もったりしたサーモンピンクを特色につかって、より肌の色や艶やかさを出してる。マットでスモーキーな風合いがエロティックなんだけど下品に堕さない。ノリノリにナルシスティックなポーズっぷりも三文ゴシップなセンスでスバラしい。素敵ー。
で、肝心の楽曲がこれまた麗しい。ていうか、気持ちいい。体感的な快さ。
自然に口ずさんじゃうような、体に入ってくる音楽。覚えやすいと思った。
これまで、特に「無罪モラトリアム」や「勝訴ストリップ」あたりに顕著な、情念がぐつぐつたぎるような、歌詞やパフォーマンスの文学性みたいなものに注目されがちだったのかもしれないけど、どーんと音楽性で勝負!って感じの。
つか、これまでだって、ずーっと音楽性にこだわってきたんだろうけども。
情念ぐつぐつな文学性がお好きな方は「三文ゴシップ」は残念に思うらしいけど、わたしは好き。
1. 流行
いきなり男声のラップで何ごとかと思った(笑)。日本語ラップってどうにも馴染めない。中盤から後半に向けての盛り上がり加速に高揚。
2. 労働者
林檎ってあんまり恵まれた声質ではないよな、と思いつつ、そのぶんとても律儀に歌唱してる、となんとなく思った。カッキリ滑舌のよさ、サビんとこの盛り上がり歌い上げに生真面目さを感じる。いじらしくって好感。
3. 密偵物語
劇的で大げさでノリノリな(笑)。ぶっとび気味で印象的なフルート、ベースの疾走感。たっぷり楽器の厚い音。合間にセリフを入れ込んだりすんのって、お茶目さん(笑)だよねー。
4. 0地点から
浮遊感。ふわふわゆったりもったり漂うような、それでいて確かな足取りの。後半の声の重なり、コーラスの荘厳。
5. カリソメ乙女(DEATH JAZZ Ver.)
ジャズアレンジであるらしいんだけど、チンドン屋っぽい、とも思っちゃったのはシロタの不見識であろう(笑)。トランペットが賑やかにコブシまわしたりとかおっさんがアジってるとことか蓮っ葉な歌いっぷりとかさ。
6. 都合のいい身体
大げさなオーケストラ(笑)。弦隊のものものしい幕開けに歌詞が「終にやって参りました勝負の時」って歌い始めが出来過ぎで笑える。とにかく大仰でひたすらな高揚、最後の最後まで盛り上がりまくり。
7. 旬
きれいなうた。一途でいじらしい歌詞世界。弦の音、ベースやパーカッションの厚い音が生真面目で律儀な歌唱を支える。終盤、洒脱なピアノにヴァイオリンの泣きがしみる。
8. 二人ぼっち時間
快い。体に気持ちいい。やたらに鼻歌で歌っちゃうくらいに体に入ってきて覚えてしまった。賑やかな管楽器、サックスがじゃれてるみたいで微笑ましい。タップんとこも愉快。
9. マヤカシ優男
またもう(笑)。芝居がかって大げさでものものしいんだから。ベース、ピアノのスリリングな疾走感。なんか妙に不穏な音が背景に仕込まれてる。カリソメ乙女のアレンジを施した“SOIL”&“PIMP”SESSIONSていう人らの仕業はけれんたっぷりで劇的でおもしろいなー。
10. 尖った手口
あからさまに不穏。エフェクトのかかった声、全編整えられたプログラミングの、機械でマシンでメカな冷たさ。疾走感が寒々しくもクール。日本語ラップんとこは違和感あり。
11. 色恋沙汰
ベースのリズムが全編を洒脱にまとめてて、オシャレ感漂う。甘くてポップい、とろけ気味の柔らかさに、ほんの少しメランコリーつかアンニュイな苦み。
12. 凡才肌
アコーディオンて鄙びてのどかな音の楽器なイメージだったんだけど、これはなんだか不穏で不安で暗い。キツそうな歌唱も相まって息苦しい。
13. 余興
これ好き。前向きな歌詞にテンションあがる。心意気っていうか気概に溢れる義侠の歌とでもいうんですかね(笑)。景気のいいギター、この曲の並びからは妙に安心感を感じるバンドサウンドに元気が出る。
14. 丸の内サディスティック (EXPO Ver.)
へえー、と変貌っぷりに驚き。ゴスペル風なコーラスは圧倒的に迫ってきつつ気持ちよく伸びて快い。泥臭さが抜けたさらさらオサレな清潔。
印刷ってのは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)4色の網点の重なりで表されるわけなんだけども、ピンクとかオレンジの発色はMとYの掛け合わせではなかなか再現が難しく、くすんだり濁ったりしがち。人の肌の微妙な色合いや質感を滑らかに出すのは、色校正に熟練を要する仕事なのです。しかも椎名林檎となれば大量ロットであろう、ムラなくクオリティを保たなくてはならんから大変。
このジャケットの場合はYMCKに加えてもう一色、もったりしたサーモンピンクを特色につかって、より肌の色や艶やかさを出してる。マットでスモーキーな風合いがエロティックなんだけど下品に堕さない。ノリノリにナルシスティックなポーズっぷりも三文ゴシップなセンスでスバラしい。素敵ー。
で、肝心の楽曲がこれまた麗しい。ていうか、気持ちいい。体感的な快さ。
自然に口ずさんじゃうような、体に入ってくる音楽。覚えやすいと思った。
これまで、特に「無罪モラトリアム」や「勝訴ストリップ」あたりに顕著な、情念がぐつぐつたぎるような、歌詞やパフォーマンスの文学性みたいなものに注目されがちだったのかもしれないけど、どーんと音楽性で勝負!って感じの。
つか、これまでだって、ずーっと音楽性にこだわってきたんだろうけども。
情念ぐつぐつな文学性がお好きな方は「三文ゴシップ」は残念に思うらしいけど、わたしは好き。
1. 流行
いきなり男声のラップで何ごとかと思った(笑)。日本語ラップってどうにも馴染めない。中盤から後半に向けての盛り上がり加速に高揚。
2. 労働者
林檎ってあんまり恵まれた声質ではないよな、と思いつつ、そのぶんとても律儀に歌唱してる、となんとなく思った。カッキリ滑舌のよさ、サビんとこの盛り上がり歌い上げに生真面目さを感じる。いじらしくって好感。
3. 密偵物語
劇的で大げさでノリノリな(笑)。ぶっとび気味で印象的なフルート、ベースの疾走感。たっぷり楽器の厚い音。合間にセリフを入れ込んだりすんのって、お茶目さん(笑)だよねー。
4. 0地点から
浮遊感。ふわふわゆったりもったり漂うような、それでいて確かな足取りの。後半の声の重なり、コーラスの荘厳。
5. カリソメ乙女(DEATH JAZZ Ver.)
ジャズアレンジであるらしいんだけど、チンドン屋っぽい、とも思っちゃったのはシロタの不見識であろう(笑)。トランペットが賑やかにコブシまわしたりとかおっさんがアジってるとことか蓮っ葉な歌いっぷりとかさ。
6. 都合のいい身体
大げさなオーケストラ(笑)。弦隊のものものしい幕開けに歌詞が「終にやって参りました勝負の時」って歌い始めが出来過ぎで笑える。とにかく大仰でひたすらな高揚、最後の最後まで盛り上がりまくり。
7. 旬
きれいなうた。一途でいじらしい歌詞世界。弦の音、ベースやパーカッションの厚い音が生真面目で律儀な歌唱を支える。終盤、洒脱なピアノにヴァイオリンの泣きがしみる。
8. 二人ぼっち時間
快い。体に気持ちいい。やたらに鼻歌で歌っちゃうくらいに体に入ってきて覚えてしまった。賑やかな管楽器、サックスがじゃれてるみたいで微笑ましい。タップんとこも愉快。
9. マヤカシ優男
またもう(笑)。芝居がかって大げさでものものしいんだから。ベース、ピアノのスリリングな疾走感。なんか妙に不穏な音が背景に仕込まれてる。カリソメ乙女のアレンジを施した“SOIL”&“PIMP”SESSIONSていう人らの仕業はけれんたっぷりで劇的でおもしろいなー。
10. 尖った手口
あからさまに不穏。エフェクトのかかった声、全編整えられたプログラミングの、機械でマシンでメカな冷たさ。疾走感が寒々しくもクール。日本語ラップんとこは違和感あり。
11. 色恋沙汰
ベースのリズムが全編を洒脱にまとめてて、オシャレ感漂う。甘くてポップい、とろけ気味の柔らかさに、ほんの少しメランコリーつかアンニュイな苦み。
12. 凡才肌
アコーディオンて鄙びてのどかな音の楽器なイメージだったんだけど、これはなんだか不穏で不安で暗い。キツそうな歌唱も相まって息苦しい。
13. 余興
これ好き。前向きな歌詞にテンションあがる。心意気っていうか気概に溢れる義侠の歌とでもいうんですかね(笑)。景気のいいギター、この曲の並びからは妙に安心感を感じるバンドサウンドに元気が出る。
14. 丸の内サディスティック (EXPO Ver.)
へえー、と変貌っぷりに驚き。ゴスペル風なコーラスは圧倒的に迫ってきつつ気持ちよく伸びて快い。泥臭さが抜けたさらさらオサレな清潔。
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