SSブログ

「攻殻機動隊」 [映画]




押井守の映画って初めて観た。へえー。
重。暗。湿。アニメとは思えん、重力のある風景。物憂げなタルさ。
しかし退屈って訳ではなく、居心地のいい倦怠感で弛緩して観てられる。
でもって全体を覆う閉塞感。閉塞っていうより隅っことか押入れに籠もる感じの、妙に落ち着くお籠もり感ていうか。
おもしろー。

ゴーストとか電脳とか公安9課とかよくわからない用語が説明なくごんごん出てきて、もりもり話が進むんで、ついてくのが大変。どいつもこいつもアニメとは思えんテンションの低さで、台詞はほぼ呟きの如く。滑舌はいいから聞き取りづらくはないんだけど。
だもんで、前傾姿勢で必死に聴いて脳みそフル回転で筋立てを追いつつ、画ヅラは上述のかったるさで重暗い。このバランス加減が絶妙なんだと思う。妙にハマる心地よさ。

主人公の草薙素子少佐は全身が人工的につくられた義体(義手とか義足みたいに)で、脳以外は生身の身体ではない。生身である脳も、電脳化によって、情報処理や記憶が外部化されている。とすると、わたしがわたしである、ってことに違和感とか疑いを持ってしまうのも無理もなく。
一方で、広大膨大なネットワークの情報の海から、自我、自立した意識が生まれる。こちらは身体を持たない意識だけの生命体。というより、膨大なネットワークそのもの、情報の海という生命体な訳だ。ソラリスの海みたいな。
自分が自分であるという根拠、とか、生命とは何か、とか、哲学的なテーマが重い質量をもって立ち上がる感じ。

この映画は'95年の公開なのだけど、実にインなテーマであったことよな。
ていうか、インタネットや携帯端末がより一般的になった現在において、より切実になってきてる気もする。







マシン.jpgちなみに、15、6年前くらいに描いた落書きを晒してみる。このときは「攻殻機動隊」未見だったんだけど、ちょっとSFかじってたら、こういうイメージは既にあったよね。「ニューロマンサー」の影響絶大。

コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

コメント 0

コメントの受付は締め切りました

トラックバック 0

「8 1/2」「イノセンス」 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。