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「色の彩時記」朝日新聞社 [書籍]

色の彩時記.jpgお鈴ちゃんとこの記事、「似合う色のみつけ方。。」が興味深くって、そういやコレコレ、って学生時代に入手した書籍を引っ張り出してみた。わたしはとても(書籍に関しては特に)物持ちがよいのだ。モノに執着しない性格になりたいと思ったりもしたけどもう諦めた。

タイトルは誤植に非ず。歳時記の歳の字を彩に洒落てみたらしい。つーても歳時記って何か知らんかったのでその洒落っぷりをまるで解さなかった訳なんだが。
’83年3月に初版、入手した版は’92年10月で16刷。ムック本てあんまり重版される印象ないんだけど、なんか凄いんじゃね?

副題は “目で遊ぶ日本の色”。
季節につれてうつり変わる日本の色づかい、詩歌文学に表される色のイメージ、科学的に分析される色彩学の一端など、日本的な色彩感覚に多様な切り口から迫り、広汎な資料がまとめられてる。

わたしの目当ては日本の伝統色として、色の名前が色相ごとに列記されてる頁でした。色の名前って実にイマジネーション豊かで、名前が連ねられてるだけで萌え萌えなのです。
蘇芳(すおう)とか鴇色(ときいろ)とか鶸色(ひわいろ)、浅葱(あさぎ)、月草(つきくさ)なんて言葉の響きもイイ。黄櫨染(こうろぜん)なんて高貴なのもいいし、海松茶(みるちゃ)、路考茶(ろこうちゃ)なんていう渋いのもイイ。なかなかパッとイメージできなかったりするけど(笑)。
カタカナ表記が玉に瑕なんだけど、洋名も併記されててこれまたイイ。タンジェリンとかバーント・シェンナ、カナリヤイエロー、マラカイト・グリーン、ブルー・セレスト…、それぞれにその色が用いられてきた文化や歴史が感じられて趣き深いのです。カーディナルなんていうのは枢機卿が身につける高貴な色ですな。

これだけ色の名前があるっていうのは、それだけの色数を識別する視覚能力があり、使い分ける文化があるってことなんだけど、とにかく色彩から読み取るイメージや意味や印象がそれだけ豊富だってことだろうと思う。
単なる光の波長の長短に留まらず、情緒的にはたらきかけられるところが実に大きい。

書籍の冒頭には色を主題に書かれた谷川俊太郎の詩「色の息遣い」が掲載されてる。単に色彩から感じられるイメージにとどまらず、色の思想みたいなものになってて興味深い。
わたしが好きなのは “青” かな。青色が空間的な広がりを持ちつつ、透明に遠景にひいてゆく儚さが印象的。(引用して紹介したいのはヤマヤマなれど、詩歌というのは一部引用では意味が為さなかったりして引用しづらいし、全文引用となると著作権的に気がひける。)

今となってはちょっと入手しづらいけど、良書です。



ところで、似合う色。ちょろっとググったら、パーソナルカラーとかなんとか診断とかぞろぞろーっと調べあたって、正直ヒいた。あなたの色はコレ、って、なんか占いみたいな印象。
そもそもが色彩論だって形態論とセットみたいなとこもあって、色彩のみで語れることって実は少ないと思う。まして着るものとなると、色だけじゃなくって生地の素材とか質感、服のシルエットで随分イメージ変わるもんだからねえ。
つか、似合わなそうな色でも果敢に挑んで着こなしてやるぜ! ていうのがファッションじゃないかと思ったりもする(笑)。
もちろん、髪や目や肌、身体固有色とのマッチングで、“似合いやすい色”はあるだろうから、そういうのをまるっきり無視ってんじゃないけどね。そういう色を活かして“着たい色”を着ちゃえばいいんだろうし、たぶんその為にカラー診断があるんだろうな。






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コメント 2

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お鈴

シロタさんTBありがとうございます^^
素敵な本をお持ちなのですね。
日本の色の名前って美しいですね。
日本って豊かな美意識があるんだなって嬉しくなります。
おっしゃるように名前だけじゃ色が浮かばないものもいっぱいですが。笑

ネットのパーソナルカラー診断、あてになんないですよね。笑
周りの人にあれこれ聞いたほうがよっぽどいいと思いました。笑

似合う色探しと同時に、似合うシルエットも研究したいと思っている
今日この頃です^^

by お鈴 (2009-12-04 21:03) 

シロタ


お鈴ちゃん、いらっさいまし。いつもコメントありがとう。

日本語の色の名前、草花や動物から採った名前がすっごく多くて、自然の豊かな地であることよ、とか思います。
西洋の宗教的背景も趣き深いんですよ。例えば promised landっていう色名があって、これは約束の地、天国の色です。ゆたかな緑色なんだけど、こうなるともうただの色じゃないですね。

色の世界は奥深いよねー。

by シロタ (2009-12-05 09:55) 

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