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「あらゆる場所に花束が…」中原昌也 [書籍]

読んでて不快。きたならしくってくだらなくって生理的嫌悪な感じで不快。
激しい憎悪が充満していて、戸惑ってしまう。なんでそんなに憎んでんの。

ただこれ、読んでると妙にすがすがしく、不快が突き抜けて裏返ってこの上なく清らかになる感じ。
不快が快に変じるんじゃなくって、不快感そのものが清らかにすがすがしい。
すごくヘンな感じ。

嫌気性生物、みたいなことをイメージした。メタンとか硫化ガスとか臭くて有毒の気体を呼吸して生きてて、酸素に触れると死ぬ。そもそも46億年前とか地球に生命があらわれた頃にはそういう生きものの方がメジャーだったらしいんだけど、そこに葉緑素をもって酸素を生成する生物があらわれ、酸素は嫌気性呼吸する生物にとっては猛毒で、あっちゅーまに駆逐されてったらしい。
酸素の悪意。良きものがふるう無邪気な暴力みたいなものがあって、そういうものにものすごく敏感な生きもの。な、イメージ。

Amazonでの新潮文庫版のレビューで「 嫌いじゃない」って書いてたmomingoさんていう人の感想にまったく同意。
単行本版の「宇宙的憎悪」(dokuitigoさん)ていうレビューにも得心。ふーん。

表紙の絵もこの作家が描いてるそうなんだが、この絵にも憎悪がたぎってる。
巧いとか審美的に優れるとかじゃないんだけど、ぎたぎたな嫌らしさとか観ていてすんごい不快。ってことは、まあそういう不快さが表現されてる絵だっていうことなんだろうけど。
フランシス・ベーコンみたいな感じがするけど、影響うけてんのかな。

しかし、憎悪っていったい何だろうな、と思ったりした。
ときどき、皿洗いながら「くだらねえ」「バカじゃねえの」「死ね」とかぶつぶつ呟いたりしてしまう(最近はあまり言わなくなったけど)、それっていったいどこから涌いてくるんだろう。






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